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標高10,750mの月の山         

近藤善則

かぐやが見た月の地形

つい最近「かぐや」が見た月の裏側の画像を目にすることがあり、少し月の山について思いめぐらせてみた。

 この写真は国立天文台と宇宙開発機構(JAXA)が纏め、国土地理院が作成したものでWEB上に公開されているものだが一般には画像データー量が大きすぎて印刷するにはかなりてこずる。私が見たものはA-0 サイズのかなり詳細な画像である。

 表側(左)と裏側(右)が並べてあり、図法は平射図法。経緯度線もある。月は自転と公転がシンクロしていて いつも同じ面を地球に向けているので裏側は地球上からは絶対見えないわけだが、月探索衛星「かぐや」により裏側の撮影が可能になり、この地形図が完成した。

 この地形図では標高が色分けされており画像をみただけでも明らかに裏側の方が標高差があることがわかる。右下に色分けの区分が表示されているが最高点が平均高度(0m)の+10km、最低点がー9kmとなっている。つまり地球で言えば、高度1万メートル、深度9千メートルということになる。月の直径は地球の1/3.7 地球に比べてはるかに凹凸があることになる。月には水がないとされているので、0メートルは地球と定義が異なるが海や湖がたくさんあり、山も名前のついているものだけでも30座ほどあり、山脈もいままで知られていたアルプス山脈、ピレネー山脈を含めて20ほど名前がついている。

 最高点は10,750m エベレストよりも高い山が裏側のクレーターの縁にあったのだ。
この最高点もやがて名前が付くことになるのだろうが、月の山にも遠征隊を送り出す日も近いのではないかと想像したくなる。

が、宇宙の神秘が解明されていけばいくほど情緒が失われていくことは

(追記) この原稿を作成途中、「月に水」印探査機が発見 という新聞記事が目に入ってきた。
 24日付英紙タイムズによると、インドの無人月探査機は「月面に大量の水が存在する証拠」を発見した。探査にかかわった米航空宇宙局(NASA)が同日発表する  というものだ (9/25サンケイ) 

山岳地理の範疇に 地球上以外の地域にも目を向けていく必要がありそうだ。

以上はAGCレポート vol-28に掲載した記事だが、その後気になっていることがあったので、続編を書いてみた。

月に水はあったのか?

タイムズ紙の記事は本当なのだろうか
2009年9月、インドのチャンドラヤーン1号は月の水を検出し、また反射された日光から水酸基の吸収線を発見した。2009年11月にアメリカ航空宇宙局のエルクロスは、インパクタを月の南極のクレーターに衝突させ、舞い上がった物質の中にかなりの量の水酸基を検出した という記事がサイエンス紙に掲載されていることから、どうやら本当に水が存在するらしい。

月の水は地質学的な時間をかけて、水を含んだ彗星や小惑星、隕石が衝突してもたらされたか、太陽風の中の陽子が酸素を含む鉱物に衝突してその場で作られたものであると考えられているそうだ(wikipedeia-月の水)

月で生活することがいよいよ具体性を帯びてくる中で、当然 前掲の「月の山」についても もっと知る必要に迫られてきた。参照:(月の山一覧)

さて 月の山の高さについてであるが、最高点107,500mの0mすなわち基準面はどのようにして決めたのであろうか。この地図の注記には月の重心を中心とする半径1737.4kmとあるが、この根拠はなんだろうか

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