赤岳をバックに
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赤岳山頂
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気をもんでいた台風14号の影響はほとんどなかったようで、中央本線・小淵沢駅を降りるとピカピカの天気だった。予約していたタクシーで県界尾根下のゲートまで行ってもらう。途中でクルミを抱えたホンドリスが横切る。実りの秋を迎えてリスたちも冬篭りの準備に余念がないようだ。登山口の駐車スペースにはすでに数台の車が止まっていた。県界尾根の標識にそってゆるやかな山道を登って行くと正面に赤岳が高く聳えている。今年の夏はほとんど歩いていなかったので、あの頂上まで行くのかと思うとつらいものがあった。じきに尾根に向かってササヤブの急登が始まった。汗が出てくるが9月も半ば過ぎ、休むと少し寒くなる。尾根に出て少し行くと小天狗に着いた。大天狗まではゆるやかな樹林の中の尾根の道。左手に真教寺尾根が見えてくる。大天狗付近で小休止。途中で昼寝をしている軽装の一行に会う。鎖場の手前で引き返してきたという。しばらく行くと鉄板のトラバースがあり、鎖あり、梯子ありのスリルあふれた急登が始まった。さっきの一行はこの辺で引き返したのであろう。トリカブトが咲いていた。気を引き締めて高度をかせいで行くと、右の主稜線上に今日宿泊する赤岳天望荘が見えてきた。リーダーに、「トラバースして、荷物を置いて山頂をピストンしませんか」と申し出たが、「まっとうな道を行きましょう」と却下されてしまった。こうなったら登るっきゃない。「やれ行け〜、それ行け〜」と、ブツブツ言いながら悪場を登って行く。(先頭を歩く山本さんは何事かと思われたかも)ガレた斜面に掛けられた梯子をいくつも登り、稜線を歩いている人が見えてきて、あと少しと思っているとひょっこりと赤岳山頂小屋の裏に出た。ヤレヤレ。小屋の前を通って三角点のある南峰へ。360度のすばらしい展望で、直前まで台風云々と言っていたわりには結構な人出だ。賑やかな山頂をあとに今日泊まる赤岳天望荘まで下る。お湯、お茶、コーヒーがセルフで無料。水洗トイレ完備。個室部屋に荷物を置き、休憩室でおきまりのビール。午後2時から7時までという「ごえもん風呂」に入らせてもらう。さっぱりして、夕食まではテレビの相撲中継を居眠りしながら見る。食堂下の大部屋を覗くとごったがえしていたが、個室の棟は静かでゆったりできた。食事はバイキング形式で、きれいな夕日を見ながらの食事となった。消灯は20時。夜は星座がわからないくらいの星空だった。
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赤岳 バックは南アルプス
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赤岳をバックに
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5時少し前、すでに東の空が赤くなっていた。風もほとんどなし。今日も良い天気だ。朝食代わりの弁当(いなり寿司)をもらって、御来光を見てから予定どおり5時半出発。富士山はぼんやりしているが、北アルプス方面はくっきり見えている。なんといってもわかりやすい槍ヶ岳。左は穂高、右は・・・。左手の谷側に長い影が映る。まだ時間が早いせいか行き交う人も少ない縦走路を登ったり下ったりして三叉峰へ。横岳山頂で3人だけの静かな朝食。そこから左側の大同心、小同心を見下ろしながら硫黄岳山荘へ。ここから硫黄岳へはなだらかな登りだ。いつも風が強く、ガスられたらケルンが頼りというこのあたりも、今日は後ろから太陽が照りつけて暑いくらいだ。山頂からはスッパリ切れた火口が怖そうだ。火口壁を右手に見ながら下り、両側に小屋がある夏沢峠に着いた。次のピークへは樹林の中の登りで箕冠山(みかむりやま)、根石岳を通って見晴らしのいい東天狗へ。さすがにこのあたりは人が多い。雲ひとつない空。すばらしい展望で大休止とする。贅沢なひとときだ。黒百合平への道は中山峠経由とし、岩の道を下る。中山峠は見晴らしがないが落ち着いた峠だ。ほんの5分ほどして黒百合ヒュッテに着いた。
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横岳山頂 バックは南アルプス
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硫黄岳山頂
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あとは温泉めざして石ゴロの道を下るのみ。きのこ観察や、紅葉、黄葉した木々を見ながら下り、13:20、目指す渋の湯に到着。早いのですいている「渋御殿湯」で汗を流し、14:48のバスで茅野へ出て、15:55の“はまかいじ”に乗る。今回も又、好天気に恵まれ、一日中、富士山、南、中央、北アルプスの峰々、遠く頸城山塊や上越の山々までくっきり望まれ、自称、「晴れ女」の面目は充分に保たれたのでした。
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