参加者4人は河口湖に向かう電車の中で合流した。9:40河口湖駅前から天下茶屋行きのバスに乗る。小ぶりのバスは登山客で満員。30分ほどバスに揺られて三ッ峠入口で下車したが、そこで降りたのはわれわれ4人だけ。他の乗客はみんな三ッ峠に登る人たちのようである。
5分ほど歩くと登山口。そこは標高ほぼ950mの所にある。林道のように幅広だが、中央に大きな岩がころがっていたり、深くえぐれたりして車が入れるような道ではない。左右の斜面には岩やら倒木・枯枝が散らばり、地面の凹凸がはげしくてまるで災害の跡のように荒れている。まもなく「峠道文化の森入口」という標柱が立ち、小さな石の地蔵さまがある所にさしかかる。この辺りから周りの景色はだんだんと落着いて、新緑の雑木林の中を登るようになった。
林の中は下生えが少なく、20cm足らずの丈低い笹がチョボチョボと生えているだけ。足元には白や黄色や紫の小さな花が咲いていて、辻橋さんが時々立ち止まっては名前を教えてくれるが、聞いても片っぱしから忘れてゆくのでここに記載することができない。マムシグサが多かった。フタリシズカがよく話題になった。ハルゼミがおとなしく鳴いている。静かな大気を破るように時々鳥が鳴く。
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ギンラン
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フタリシズカ
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11:50旧御坂峠。快適で歩きやすい道だったせいかここまでの標高差500mをさほど苦労しないで登ってしまった。峠のヤマツツジはまだつぼみである。ここから黒岳に向かう稜線ではヤマツツジが咲いていたが、ミツバツツジはすでに終り、散った花びらを踏みながら登った。稜線の2ヶ所でハルリンドウを見た。可憐な花なので印象に残った。
12時過ぎ、黒岳頂上の手前で弁当にした。山頂直下の北斜面には大きく葉を拡げたヤブレガサが群生していた。13:30黒岳山頂(1792m)に着いたが、展望はきかないのでそこから5分ほどの所にある展望台まで行って大休止とした。ここからは正面(南側)にすばらしい展望が開けていた。真正面に富士山がデーンと鎮座し、眼下には河口湖が広がっている。
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マイヅルソウ
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世界遺産
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14時下山開始。雨の時には苦労しそうな急坂が続く。要所要所にロープが張ってある。14:50に三ッ峠方向への分岐を過ぎると、程なく道は主尾根から左に別れて支尾根の下りになる。それから約1時間後、下の方に人家の屋根が見え始め、15:50舗装道路に飛び出した。800m余りの標高差を一気に下る急坂であった。10分ほど歩いて日帰り温泉「天水」に辿りついた。
露天風呂で汗を流し、反省会の後、近くのバス停からレトロバスに乗って河口湖駅へ向かった。
好天の休日であったが、黒岳頂上を除けば出会う登山者は少なかった。下山の途中、大きな荷物を背負って登ってくる4、5人の若者グループと出会った。すずらん峠で幕営の予定だという。こういう若者たちも出てきたかと、頼もしく思った。
新緑の明るい雑木林の中、暑くもなく寒くもなく、心地よい風に吹かれて歩いた誠に快適な山行だった。
なお、今回の山行で計画された当初のコースは、黒岳から新道峠まで稜線を歩いて、そこから大石へ下るというものだった。2日前に下見に行った辻橋さんによれば、そのコースは舗装された林道歩きが長いなどの難点があった。行きの電車の中で4人が話し合った結果、黒岳から直接広瀬へ下るコースをとってみようということになった。下山後の辻橋さんの感想は、こちらの方が全然よかった由。
出合った花々
スミレ(三種位) 西洋タンポポ 、テンナンショウ、 マムシグサ、 フタリシズカ、ヒトリシズカ、 キジムシロ、 バターカップ、 ユキザサ、 チゴユリ、 マイズルソ
ウ、 テンニンソウ、 ムラサキケマン、 マルバツクバネソウ、 ギンラン、 シロバナエンレイソウ、 ハルリンドウ、 センボンヤリ、 ニリンソウ、 フタリシズカ、
ヒトリシズカ、 ネコノメソウ、 ヒメジオン、ミツバツツジ、 ヤマツツジ、 ムシカリ、 ニセアカシアその他名前のわからなかったもの多数あり。
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