「山の日」事業委員会

■ 2014.10.12

祝日「山の日」 再来年から実施決まる

祝日「山の日」 再来年から実施決まる

《山に親しむ…》の意義周知で次のステップへ

国民の祝日に「山の日」が加わった。夏山シーズンの最盛期で、お盆休みにつながる8月11日である。《山に親しむ機会を得て山の 恵みに感謝する》という祝日の意義は、山との深いかかわりを考える、山の国日本の美しく豊かな自然環境を守る、山を楽しみ安全な登山をこころがけるなど、人により、立場や環境によってさまざまに受け止められよう。いずれにせよ「山の日」を有意義な一日にしなければ、と思う。

祝日実施は再来年からである。わが日本山岳会としては、まずは2016年8月11日までの2年間を、より多くの人たちへの周知活動の期間ととらえ、会員一人ひとりが、支部や地域で、運動に参加していただくことをお願いしたい。「山の日」づくりで動いたこれまでの5年余を振り返り、不足した部分、やりたくても出来なかったことを洗い出して、活動目標にしてほしい。

□祝日「山の日」法案成立

年明けから始まった第186回

通常国会―。「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案」「山の日」祝日法案)は3月28日、衆議院に提出された。衆議院に議席を持つ9つの全会派の共同提案、超党派の議員立法である。法案は4月23日、内閣委員会で賛成多数で可決され、25日の本会議で賛成多数(起立による)で可決された。

また参議院では、5月21日に内閣委、同23日には本会議で、いずれも賛成多数で可決された。参議院の場合、本会議での採決結果は賛成213、反対15と議場内に表示された(写真)。両院とも、党議拘束をかけなかった二つの野党の議員から、少数だが反対者が出たようだ。

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【写真A(参院本会議)】5月23日の参議院本会議 「山の日」法案が可決、成立した

ところで、「山の日」の理念はどこまで理解され、実行に移されているだろう。結論から言えば、準備は整いつつあるが国民的な広がりには程遠く、本当のスタートはこれからではなかろうか。  

『「山の日」制定運動正念場/拡大新組織で祝日実現へ』という当プロジェクトからの呼びかけが会報「山」に掲載されたのは今年の1月だった。この時点では、遠からず法案は成立するという見通しがあり、山岳5団体、とりわけその中核となってこの運動を進めてきた日本山岳会に求められている役割りについて書いた。『正念場』という言葉は、法案の成否だけでなく、運動の理念、掲げた目的がどこまで実行できるかを問われる年だという意味で使ったつもりである。

こうした状況をふまえ、昨年11月に発足した全国「山の日」制定協議会は3月4日の臨時総会で規約を改定し、《「山の日」を制定し祝日とする》とだけ書かれていた目的条項に《「山の日」を制定し、その意義を広く国民に伝え、「山の日」にかかる広範な分野の発展に寄与すること》と、制定以後の運動展開を付け加えた。さらにまた、5月26日に開いた通常総会で会の名前から「制定」を外して全国「山の日」協議会と改めた。 

□《意義ある日》への参加

超党派議員連盟のスピーディーな取り組みによって早々と手にした祝日制定である。その「山の日」を《意義ある日》とするため、いま私たちは、運動の原点に立ち返ってこれからの行程を考える必要があると思う。

日本山岳会が「山の日」運動をスタートさせたのは2009年である。当時の宮下秀樹会長が年頭の挨拶で、まず『山の日』の制定運動を提案し、会員各位の理解と協力をお願いしたいと呼びかけた。《このプロジェクトでは、既にいくつかの県で始まっている地域単位の『山の日』を全国に広め、その日を中心に、「山」「山岳」をテーマにした多様なイベントを企画、推進します。健康的かつ文化的な催しを通じて山に親しみ、山を尊び、敬う気風を育てる。山岳への関心を高め、美しい自然を後世に遺そうとするのが目的です》(会報「山」1月号)と意義づけた。

それ以前、日本山岳会は創立百周年事業の柱として中央分水嶺踏査に取り組み、千人以上の会員が列島の背梁山脈を手分けして歩いた。宮下さんは、それぞれが森や木や動物など自然界の万物を身近に感じ、共生することの大切さを感じたビッグプロジェクトだったと高く評価し、《山の日プロジェクトは大勢の会員が参加したこの分水嶺踏査の延長線上にある。イベントに参加する人をさらに増やし、活動舞台の裾野をさらに広げ、より多くの人々、国民に、「山」を身近で大切な存在と認識してもらいたい》(要旨)と書いている。

そして、企画・運営に支部パワーを結集してほしいと強調し、「山の日」運動の活動内容としては①登山活動(市民登山・ハイキング、親子登山、登山教室など)②文化活動(講演・映画・音楽会、シンポジウム、図書・写真・絵画展・スケッチ会など)③環境保全活動(森づくり、里山保全、観察会など)を挙げている。

これらの具体性を持った提案は、そのまま〝いま″に通じる内容だと思う。企画を推進しイベントを盛り上げるには自治体やメディアの力も必要だという指摘もそのとおりである。(付け加えるとすればインターネットの活用くらいか)

2010年4月、山岳5団体が結束した。協議会が発足し、パンフレットを作るなどして運動を活発化させた。前会長の尾上さん。現会長の森さんが宮下さんの路線を引き継ぎ、執行部の支持を得て発展させた。公益法人への移行が「山の日」運動のウェイトを高める側面もあった。国会議員たちが動き、超党派議員連盟が設立された。運動開始から5年半で得た成果ではある。しかし、なぜ「山の日」が必要なのか。JACの真価が問われるのはこれからだと思う。智恵を出し合い、企画に参加し、より多くの方々の支持と理解を得たところで2年後の「祝日」を迎え、さらにその後へと繋ぎたい。

□支部アンケート

当プロジェクトでは5月末、32の支部に一斉メールで、「山の日」についてどのような取り組みが行われているか、検討中を含め情報を提供してほしいとお願いした。6割を超える支部から折り返し回答が寄せられた。

詳しく内容を紹介する紙幅がないのは残念だが、6月8日現在、秋田、宮城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京多摩、山梨、越後、富山、石川、福井、東海、京都・滋賀、関西、山陰、広島、宮崎、熊本などから取り組みの概要が報告され、機運の高まりと広がりが感じられた。企画なし、検討もしていないという支部もあり、温度差はあるが、新たに「山の日」関連のイベントを企画したいという回答がいくつかあり、力づけられた。支部活性化プロジェクトと情報を共有し、今後の展開に活かしたい。

9月には、全支部の支部長、事務担当者が集まって、情報交換と今後の活動方針を検討する会議が開かれるようだ。「山の日」運動もテーマに加えてもらって、支部の積極的な参加機運を高めたい。

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【写真B(東京多摩支部のビラ配り)】東京多摩支部が高尾山登山口でビラ配布(6月1日)

私たちの「山の日」制定プロジェクトは、来月開かれる当会の総会と前後して、ひとまずその任を終えることになろう。発展的な解消である。今後は、実質的には支部が中心になる当会の活動と、全国「山の日」協議会との連携を効率的に機能させる事業組織が検討されると聞く。

最後にプロジェクトメンバー各位の名前を記して、5年余の労を記録にとどめたい。藤本慶光、西村政晃、江本嘉伸、堀井昌子、萩原浩司、永田弘太郎、渡辺悌二、染谷美佐子、佐藤辰雄、直江俊弐、藤山雄一郎、山川陽一、谷久光、成川(順不同)。現在の担当理事は山賀純一である。(敬称略)

成川 隆顕(「山の日」制定プロジェクト)

(『 山』6月号)