山行委員会

■ 2011.09.08

集会委員会7月欧州山行報告

◆夏の欧州アルプス登山(第三回)

 

集会行事恒例の夏の欧州アルプス今夏は7月中に、⒒日間の日程でオーストリアとスロヴェニアの各国内最高峰を目指しました。

グロースグロックナー(3797m)

トリグラウ(2864m)の二峰

◇グロースグロックナー登頂

山の名前は直訳で『大鐘楼』。初登は1858年。

東西1200㎞のアルプス山脈東に位置し国内最高峰。

7月8日、成田発ウィーン経由インスブルック着、車でキッツビールのホテルに到着したのは夜十時前、緯度は稚内と同程度でまだ明るい。

此処は有名なアルペンスキー王者トニーザイラーの故郷、オーストリアでも古く(19世紀後半)から、スキーリゾートとして発展した街である。

早朝、街の中心にあるカテリーナ教会を訪ね、ザイラーのお墓に詣でる。その後車でグロースグロックナー南麓の登山口カルス村に、今日は標高2802mのストウデュル小屋迄登り、体調を整える。翌朝五時出発、一般ルートでもガイド同行が条件のコースなので頼んでおいたガイド達と合流して南面から直接頂稜基部に突き上るルイゼングラート氷河の末端に向かう。露岩帯でアンザイレン、アイゼン装着。四班に分かれて登る。氷河を詰めクレバスやシュルンドも問題無く、長いワンピッチの後、勾配の増した氷河から右手の東稜に移り近年完全改修されたフェラータを利用し上部にあるエルゾーヨハン小屋3454mまで登る。

(ヴィア・フェラータ=鉄の道、ワイヤーロープが固定され安全に登れる。

起源は第一次~第二次世界大戦の時、アルプス山脈国境防備の為、イタリアの山岳警備隊がドロミテ山群で機敏に動き回れるように、岩場を整備したルートが戦後、クライミングに転用され、整備・発展したもので、今日アルプス各山群で普及している。現在、地元のガイド組合等が拡張・整備に当る)

ヨハン小屋に予定通り九時に到着ランチタイム。テラスからの眺めは絶好。北面遥かに明後日泊る予定のハイリゲンブルート方面の渓谷や湖が青く光る。

頂上まで残り344mの登りは、傾斜の緩い大雪田から始まる。今年は残雪が多いそうでルートは専ら雪の斜面。急なルンゼをジグザグに詰めて、頂稜に出る。此処から頂上は見えるが遠い。尾根状のラストの登り下りは傾斜もきつく

雪のナイフリッジは高度感満点。頂上から帰途のパーティとの交換もあり各パーティー分散したが十一時半頃全員頂上に到達。十字架に抱擁。 此処の十字架は高さ2m余り、磔のキリスト像が切なくも、愛らしい魅力的な十字架だ。

見上げる青空に雲が出始め、此処でも夏山の午後は雲が湧き上がるのは日本と同じだ。ピラミダルな頂上は狭く、四方断崖が切れ落ち、アンザイレンのまま皆と握手、苦労して登っただけに感激もひとしおであった。

頂上からの下降は、急峻な雪稜で慎重に降る。パーティーが交錯し分散したが、一時頃ヨハン小屋で全員揃い、此処で改めてランチ。天気はまだもちそうなので明日を考え、下のストウデュル小屋へ下る。岩稜帯は効率良くガンガン下るが氷河に下りてからは、雪が腐り、歩きずらく、下りでかなりバテル。

午後五時小屋着。所要十二時間のアタックであった。

此処の小屋は食事が素晴らしくホテル並みヴァイキング形式、肉・野菜豊富。(物資はケーブルで荷揚げしている)

◇トリグラウ登頂

山行の後半は、オーストリアの南の隣国、スロヴェニアの最高峰トリグラウを目指す。同じユーロ圏で問題なく国境を越え、次の根拠地ブレッド湖へ向かう。此処はハップスブルグ家の別荘地、近代ではチトーが別荘を持った地だ。

手漕ぎゴンドラで、聖マリア教会が立つ小島を訪ねて中世のお城見物。

今日は移動と観光で、石灰岩で白く輝く東部アルプスの峰々と、映画『アルプスの少女ハイジ』のロケ地にもなった美しい森や牧草地を愛でながら、車に身を任せ、体を休める一日となる。

トリグラウ峰は、スロヴェニアの国旗にも使われているスロヴェニアのシンボルとされる山である名前は直訳すれば『三つの山』。

スロヴェニア共和国は、1991年ユーゴスラビアから独立、首都はリュブリアナ。東南にクロアチア、ハンガリー、北西にイタリア、オーストリア、アドリア海に接する。冷戦中はユーゴスラビア連邦の中で、西側諸国に近く経済的に豊かな先進地域で、2004年EUに加盟後も旧社会主義国中最高水準。

7月13日、宿泊地ブレッドから車で約二時間、登山口1300mからトウヒ・カラマツ等の森林地帯をゆっくり登る。この辺は紀元前より放牧が続けられている高原だそうで深い森と、広々とした谷が時折り開けて見える。涼しい森を抜け、アルペンローゼの咲き乱れる眺めの良い草原地帯で昼食。途中エーデルワイスの花を見つける。ランチでツアーリーダーのツベートさん持参の桃・キュウリのサービス受ける。彼はスロヴェニア人で、奥様は日本人。日本で山岳ガイド資格を取り、秋から春は日本でガイド、日本の山に精通、お陰で今回のツアーは言葉の心配なし。

今日の中間点1817mの小屋を過ぎ、樹林限界を越え、勾配のきつい石灰岩のゴーロ斜面をジグザグに登り、疲れが出た頃2575mグレダリッツァ小屋に到着。午後3時。この頃濃霧で明日の天気は期待出来ず。この小屋は、天水を池に貯め、風力発電で電気を賄う。

朝七時出発、視界ゼロで風がある。今日のコースは岩稜登攀、ルートはフェラータ完備。ガスで何も見えず高度感なし。頂上付近は風が冷たく、雨具上衣の襟を立てて凌ぐ。二時間一ピッチで頂上、何も見えない。今日は風があり、ザイル結合、立ったまま休憩。

頂上からは別ルートで、南面のヴェルスカドリーネの谷へ下降。急峻なグズグズの石灰岩の岩稜帯を慎重に降る。途中で一軒の山小屋に立ち寄り、休憩。昨日通ったボドニコウ小屋へ登り返し一休み。花が咲き乱れる美しい森林を抜け、麓の牧場を散策気分で歩き、迎えの車で山麓の村のレストランでの昼食は、紅鱒料理に舌鼓。まずは目標完遂に祝杯。ツアーリーダーのツベートさんに感謝。美味いビールを心ゆくまで堪能。

ホテルに一旦戻り、休憩後ブレッド湖畔のお城ブレッド城の見学。階段を登り城壁を越え、城の本丸内は博物館になっている。内容豊富な展示品が綺麗に並んで楽しい。後、ブレッド湖畔のリゾート街を放浪散策、迎えの車に拾われホテルに戻り、夕食で乾杯、後テラスに出て、先ほどスーパーで買い込んだシャンパン、ワインやらチーズ等の食材で、月見の宴、暗くなるまで過ごす。

翌最終日は石灰岩の『カルスト地形』の語源であるスロヴェニア南部のカルスト地方のポストイナへ、ヨーロッパ最大級の鍾乳洞を見学。延長24km電動トロッコ列車で入る。中はダウンが欲しい位寒い。スケールが大きい。「パ

ルチザンの隠れ家があった?」と現地語の解説付きで見学。

その後、首都リュブリアナに移動、中世の雰囲気を残す城郭にケーブルで登り、今回の定番となった中世のお城巡り、おっとりした街並みを気ままに散策。

中欧アルプスの山旅が終わる。

◇夏の欧州アルプス登山シリーズ

お陰さまで三年間の企画が達成されました。

三年間三回シリーズ、延五カ国、三十八名の方が参加されました。

2009年―ドロミテ・クリスタロメゾー3154mでのフェラータ体験

ドロミテ山群最高峰マルモラーダ3343m登頂

2010年―イタリア国内最高峰グランパラディゾ4061m(未踏3800m迄)

スイス・アラリンホルン4027m登頂

2011年―オーストリア最高峰グロースグロックナー3797m登頂

スロヴェニア最高峰トリグラウ2864m登頂

来年度以降、新たな発想で楽しい集会行事が継く事を期待します。

ありがとうございました。

尚、企画当初より旅行情報手配等、アルパインツアーサービスに大変お世話になりました。

(記、集会・野﨑和彦)