■ 2011.01.24
日本山岳会 月報『山』2007年(平成19年)11月号より
-- 資料映像委員会の活動と今後の課題 --
発足の趣旨と全員での活動を目指して
資料委員会は1976年に発足。事務所の移転に伴い、保管している資料の存在が不明確にならないように管理する必要が生じ、委員会を発足したと聞いている。当時は寄贈があれば受け入れていたため、資料の整理が追いつかない状態であったそうだ。その後、資料受け入れ基準を制定し、台帳整備にカを入れてきたということだ。
03年に「資料委員会」と「フィルムビデオ委員会」を統合して、会の文化事業を行なう委員会として生まれ変わった。この統合を機に、お互いのメリットを活かし、より活動範囲を広げることができるようになった。現在、学芸員1名、映像と写真のプロ、IT関係者数名を含む合計20名から成る。
作業や活動は、自薦・他薦により4~5名でプロジェクトを組んで行なっている。この態勢はそれぞれの得意分野を充分に活かし、かつ合理的であり、大きな成果をあげている。委員は、40代から80代という幅広い年齢層だが、月例会では活発な討議が交わされる。率直な意見交換のできる、開かれた委員会であると自負している。
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課題への取り組み
次に、資料映像委員会の抱える課題と、その取り組みについて紹介したい。課題は資料数の増加に伴い、管理スペースやコストなどの問題が発生していることである。模索・提案・活動しながら、その課題に取り組んでいる。ひいては未来の山岳会へ向け、最適な管理方法を確立したいと考えている。
収蔵資料については、資料の背景が正確に伝承されていないのが現状である。資料に精通している諸先輩の指導を受け、継承していくという態勢作りも必要ではないかと考える。
今後、資料と人とのつながりを把握し、資料価値が忘れさられないような活動を進めていきたい。対策の一つとして、収蔵資料の公開(展示や映画会)を行なっている。
限られたスペースでの管理や態勢への取り組みとしては、個々の持つ資料価値を研究し、専門の博物館に寄託していく。そのためには、専門の鑑定士に依頼をし、資産価値を公平に評価する必要がある。絵画については特に必要であろう。コストが発生することでもあり、理事会でも議題にし、回答を出してもらう必要があると考える。対策の一つとして、全国山岳博物館等連絡会議を開催している。回を重ねるごとに大きな成果をあげているが、さらに充実させていきたい。
絵画やフィルムなどの劣化対策を行なう。これは現在、学芸員の指導を受けながら進めている。しかし、諸々の事情から思うように進まないというのが現状である。収蔵資料の中には早急に対策を講じなければならないものもあり、プロジェクト・チームの頭を悩ませている。
資料のデータ化作業を進める。これにより収納スペースを最小に、より明確にすることができる。現在まで、過去の手書き資料台帳よりデータ化を終えた収蔵資料数は900点ほどに及ぶ。また、定期的に資料整理のできる態勢も整いつつある。
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統合のメリットを生かした新企面と今後の抱負
新しい取り組みとして、山岳会の歴史を担ってこられた方々の声と映像の記録・作成を行なっている。これは「資料委員会」と「フィルムビデオ委員会」 の統合メリットを生かしたもの。これまで2003年から05年にかけて 「語り継ぐ黎明期の登山・…それぞれの山」5回シリーズの講演会を行なった。この講演会には、延ベ650名ほどの参加者を得た。また、3名の訪問取材も行なった。いずれも会報『山』 で報告している。さらに5回の講演会記録をまとめ、2年かけてDVD化の作業を行なった。近日中にこのDVDに関する報告を行なう予定である。
かつて資料委員会は「ゴミ集め委員会」と言われた時代があったそうだ。「ゴミ集め委員会」のイメージを払拭すべく、ここ数年、全員で取り組んできた。これからも地道に文化事業の柱となるべく活動を続け、登山文化の重要性を訴えながら、会員の文化意識向上に貢献していきたいと考える。
資料映像委員会は、これまで諸先輩の築かれた登山文化を継承するために、全員でがんばっている委員会である。さらなるご理解とご支援、ご協力をお願いし、委員会の紹介としたい。
(奈良千佐子)