医療委員会

■ 2018.08.05

「第38回日本登山医学会学術集会」開催される

「第38回日本登山医学会学術集会」開催される

  第38回日本登山医学会学術集会が、日本女子体育大学総合体育館多目的ホールにて、夏井裕明会長のもと、平成30年6月2~3日(土・日)に開催された。両日とも初夏の好天に恵まれ、山行の誘惑を振り払って193名の参加者があった。日本山岳会は本学術集会を後援しており、夏井大会長が開会式等で深謝の意を表明した。

大会のメインテーマは「登山における安全管理」だった。山岳遭難が発生するたびにマスコミで大きく報道され、当事者達は世間からの逆風にさらされている現状を憂慮してのテーマ設定であった。自然相手の活動であるがゆえにさまざまなアクシデントに遭遇することは避けられないものの、アクシデントに遭遇することを想定して十分な準備を整えておくことが重要であり、夏井会長の考えがプログラムの各企画に反映されていた。特に、メインのシンポジウムでは、「学校集団登山における安全管理―学校と医療の連携―」と題して学校関係者、医療関係者、山岳関係者が様々な事例をもとに安全管理上の注意点を述べ、示唆に富む内容だった。

特別講演では、「2020年に向けてのアンチ・ドーピング」と題して、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構の事務局長である浅川伸氏が講演した。他競技において同僚選手をドーピングで出場停止にするという残念な犯罪的事例があったことを受けての企画だった。2020東京オリンピックで正式競技となるスポーツクライミングに関わる方々も多く参加され、アンチ・ドーピングに関する知識を高める良い機会になった。

更に、登山医学領域での研究活動推進に向けて、教育講演で、「登山医学研究に必要な統計学」と題して、岡山大学病院新医療研究開発センター教授の樋之津史郎先生が講演した。研究領域で統計学の重要性が高まっており、ありがたい企画だった。

今回の大会では第35回の学術集会(高松)と同様に、演者は口頭発表とポスター発表の両方を行った。演者は両方の準備が必要になり負担となるが、今回も好評で今後定着するかもしれないと思われた。

日曜日の午後には、市民公開講座「イッテQ登山部における安全管理」が開催され、登山愛好家が多数参加した。人気テレビ番組イッテQのスタッフである国際プロガイドの角谷道弘氏が講演した。イッテQ登山部は2009年以降2017年までに計10回の遠征を行い、角谷氏はその多くに関わってきた。遠征では、登頂を断念したこともあるが、大きな事故もなく全員が無事帰国できたとのこと。これらの遠征時の写真を供覧しながら「安全登山」に対する熱意を語った。

会場の日本女子体育大学(東京都世田谷区)は郊外の閑静な住宅地にあり、キャンパス中央のグラウンドでは陸上のトレーニングが行われていた。大学院には男子学生も在籍しているとのことで、男子トイレも十分に設置されていた。

 日本山岳会理事(医療委員会担当)齋藤繁、日本女子体育大学 夏井裕明

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