お知らせ医療委員会

■ 2018.09.30

山に持っていく薬はどうする?  医療委員会 小清水敏昌 

山に持っていく薬はどうする? 

医療委員会 小清水敏昌

山に行く際に必ず持参する物の中に「医薬品」がある。しかしながら、何をどの位持っていけば良いのかは、縦走するのか日帰りかなどによって様々だと思われる。そんな疑問を解消するために医療委員会として「携帯医薬品」のテーマで7月2日と23日の19時から講習会を開催した。演者は丹沢の麓にある秦野日赤病院の泌尿器科医で日本山岳会のユースクラブ委員でもある植木貞一郎氏だった。

講演では、救急セットは全般的に薬や医療材料などが含まれているので便利ではあるが、全部持っていけば安心なのか?ただ重いだけでそのまま持って帰ってくることが多いのではないか?したがって、本当に必要なものを厳選して持っていることが肝要とのこと。

山での治療には限界があり、仮にケガをした場合は受傷後1時間がゴールデンタイム。この時間内に傷病者の体温を保持、止血、創部を固定などして最低限の応急処置をすることが重要である。そして速やかな下山行動をとり、医療施設までは傷病者の状態をなるべく維持する。山での事故は午後の下りに生じることが多い。疲労がたまり転倒、転落、滑落などが起こる。予防を心がけることが大切で、登る前に水分を500cc程補給する、ストックを持っていくなどちょっとしたことで予防できる。要は、事故を起こさないように前もって準備しておくことである。薬などは個人用と共同用で用意する。個人用では、内服薬はアレルギーなどの副作用が生じることがあるので共同装備から選ぶのではなく、本人が普段でも使っている薬(例えば鎮痛剤は数錠、擦り傷用の医療材料)などを持参した方がよい。共同装備としては湿布または外用剤、三角巾、体温計、応急ギブスなど特殊な物を用意する。共同装備は日程や季節に応じて薬や医療材料の数量や種類を選んで持っていく。また、止血する際には二次感染を防止するためにもビニール製の手袋を使うようにする。

講演終了後の質疑応答では、テープの大きさについて、ハチ刺され用の吸引器の効果などについて、またパーティの薬品リストを演者に見せて評価を求めたのもあった。参加者は2日が16名、23日が12名で、ほとんどがJAC会員であることから関心の高いテーマだったと思われる。会場ではしきりにメモを取っている人が多かった。講演後のアンケートによると、簡潔明瞭で基本的なことがよく理解できたとした人が多かった。一方で要望として、医療委員会として山に持っていく医薬品の標準版を作成してほしい、骨折時の対応、テーピングの方法、ハチなどの害虫に対する対処など様々な声もあった。

今後、医療委員会としては要望の高いテーマを考慮して会員に役立つような講習会を開いていきたいと思っているので、ご意見をお寄せください。

  提案した日帰り登山の携行医療セットの概要:基本セットとして鎮痛剤2錠、絆創膏2枚、滅菌ガーゼ1組、手ぬぐいまたはタオル1本、テーピングテープ1本、外用軟膏(ステロイドと抗ヒスタミン剤の合剤)1本の6つ。これに個々の体質や山行形態に応じて必要な物品を追加する。他に全身状態を維持するためのレスキューシート、ツェルト、防寒保温ウエア、コンロも重要である。

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