お知らせ秋田支部

■ 2012.01.23

長白山「天池」を訪ねて

昨年、佐々木支部長が長白山視察登山に参加したことから、支部山行として「長白山縦走」を企画した。(アルパインツアー社に手配を依頼)

いよいよ出発という三日前から支部長が体調を崩し、急遽参加出来なくなり、私に世話役等が回ってきた。

九月十日、秋田空港を出発し、韓国・仁川空港に着く。秋田からの参加者八名、首都圏からの参加者二名の計十名。お天気は晴、明日は中国・延吉空港から西坡山門へ。この度は、日本山岳会福岡支部と栃木県ひだまりグループ、秋田支部の三グループが一緒だった。  

十一日、延吉空港でガイドの朴春虹さん(中国国籍の朝鮮族)らの出迎えを受け、専用バスで登山口のある西坡山門へ向かう。ここは中国・吉林省延辺朝鮮民族自治州、長白山には朝鮮族、満州族の発祥伝説があり、朝鮮族の聖地であること等の説明を聞く。中国に住む少数民族の悲しさをガイドの愛称春ちゃんは、この地を耕し繁栄させてきたのは朝鮮民族である、中国政府の漢族同化政策で、中国語を話せないと就職も出来ない、ハングルの読み書きが出来ない若い世代が増え、民族の伝統が消えてゆく、それが悲しいと・・・。

長白山青石峰山頂
長白山青石峰山頂

十二日、雲が厚い朝を迎える。西坡山門ゲートからシャトルバスに乗り、登山口に着いた時は辺り一面ガスで覆われ、少し先も見えない、雨がぱらついてきた。雨具を着け、石の階段と平行に並ぶ木階段を一三〇〇段ほど登りきるとそこは中国と北朝鮮の国境であった。ここから「天池」が見えるはずであるがガスのため何も見えない。現地の李徳春リーダーから、ここから下山した方がよいと説明があったが、三グループのリーダーが話し合い、青石峰まで登るグループと、下山して渓谷散策のグループとに別れることになり、秋田支部は五名が登山、五名が下山、私は下山することにした。

シャトルバスが長白山渓谷に到着する頃、雲の切れ目から僅かながら陽も射し始め、登山組みはどうしているのかと思いながら、原生林の中、渓谷に沿って整備された木道を散策した。大峡谷の、侵食されて出来た奇岩群は、羅漢像が並んでいるようにみえた。

長白瀑布を背景に
長白瀑布を背景に

登山ゲートで下山したグループと合流し、北坡山門に向かう。もし、お天気が回復したら、天池までということであったが、山頂部は雲に覆われていたので、長白山瀑布、小天池等を散策して長白山温泉へ。

十三日、晴、四輪駆動車に乗り、北坡天文峰展望台へ。車はスピードをあげ、カーブをグイグイ登って行く。座席のバーにしっかりと掴まっていても体が左右に揺れ、崖から転がり落ちるようで怖かった。

天文峰展望台にて.
天文峰展望台にて.

 

 

天文峰から碧い碧い神秘の湖「天池」見下ろす。昨日はガスのため全く見えず、この「天池」を見るために来たのだから良かった、嬉しかった。対岸は北朝鮮、将軍峰から長い長い歩道が湖畔まで築かれているのが見えていた。

天池(チョンジ)
展望台から天池を望む

 

 

 

 またスリル満点の四輪駆動車に乗り、ゲートまで。山岳道路から見渡す満州の延々と続く広大な高原や耕作地が見えていた。

龍井の町には旧日本総領事館(現在は市役所)の建物があり、その地下室は投獄所であったと聞く。近くには関東軍の宿舎がまだ残されており、市営住宅のようになっているとのこと。これから整備し、歴史地区として保存する方向で検討されているとのことだった。

国境の町図們。豆満江を隔てて対岸は北朝鮮、ここで筏に乗り豆満江を遊覧。国境を売り物にしていると思ったが、朝鮮民族は泪を堪えて対岸を見ると聞き、複雑な気持ちであった。北朝鮮側の林間に監視兵か、軍服姿の人影が見えた。国境の川に架かる橋の向こう側、北朝鮮側の白い建物には「金日成」の大きな肖像画が掲げられていた。

十四日、延吉市で朝鮮民族市場を見学してから空路、仁川空港に戻り、訪韓の度にお世話になっている「韓国山岳会同友会」の李載洪さん等を囲んで夕食。

十五日、秋田空港着。体調の戻った佐々木支部長の出迎えを受け、無事解散。

今回の長白山登山は、山に登り天池を眺める事だけではなく、李徳春リーダーやガイド春ちゃんの言葉の端々に感ずる朝鮮民族としての誇りと悲しみ、分断されている故国のこと、満州のこと等、今まで気づきもしなかった事に思いを馳せた山旅でもあった。