お知らせ山梨支部

■ 2012.08.29

第8回山の博覧会

 

講演会場内
講演会場内

山梨支部恒例の「山の博覧会」も8回目を迎え7月7日(土)に甲府市酒折町の山梨学院メモリアルホールにおいて開催した。この山の博覧会は支部創立60周年(2008年)記念事業の一環として2005年7月に第1回目を開催し、山の魅力を広く市民に知っていただく目的で『山を知ろう 山へ行こう』をスローガンに爾来毎年7月に開催している。

支部長挨拶
支部長挨拶

 

 

 

 

登山の普及と山岳文化の振興、山岳環境の保全を図る観点から、毎年そのテーマを決め、テーマにふさわしい方々に講演をお願いしている。今年は昨年に引き続いて「南アルプス特集パートⅡ」として「ライチョウの今と未来」、「森と人の対話…あれから40年」、「南アルプスは今」をテーマにした講演と「73歳エベレスト登頂報告」、「山の日制定運動報告」であった。参加者は県内外からあり昨年同様満席に近い420名であった。

 

「ライチョウの今と未来」については広瀬和弘氏(南アルプス市みどり自然課)が南アルプスのライチョウは日本の生息地として最南端で、増える天敵、地球温暖化等でその生息環境はますます厳しくなっている。鳳凰三山ではライチョウは絶滅したと言われていたが昨年生息しているのではとの情報があった。(くしくも7月11日付の山梨日日新聞の1面で「ライチョウ親子伸び伸び 南ア・鳳凰三山、30年ぶり繁殖確認」というライチョウ親子の写真入りの報道がありその記事を観て感激をした)。地球温暖化が摂氏1度上昇すると森林限界は150m上がると言われているので、2度上がればライチョウの生存はほぼ限界ラインになり、3度上昇すれば南アルプスのライチョウは絶滅してしまうのではないだろうか。1981年に約100のライチョウの縄張りがあったが、現在は40ほどしかない厳しい状況である。『ライチョウを第2のコウノトリ、トキにしてはならない』と熱く語った。

 

「森と人との対話…あれから40年」については河原義彦氏(東海フォレスト常勤顧問、元東海パルプ常務)が40年ほど前、田中角栄元総理の「列島改造」論の頃から大井川源流域の木材伐採と川狩(伐採木を川に流しての搬出)により生じた荒廃状況を林業と登山の観点から説明された。1982年、甚大な台風被害に遭い、東海パルプ㈱は自然環境保全等の見地から木材生産事業を中止するという英断をした。所有する広大な山域の自然環境・動植物の生態系保全に取り組むとともに、山へのアクセス改善、登山道の整備、トイレの改善(水洗化等)などインフラ整備を進めることによって「南アルプスの魅力を発信すること」に努めている。その結果登山者数減少にも歯止めがかかってきている。また、子供たちにも小鳥たちの餌となる広葉樹の植林作業をしてもらい、自然環境の大切さを学んでいる。

 

「南アルプスは今」については塩沢久仙氏(南アルプス芦安山岳館長)が南アルプスの自然保護活動、とくに高山植物の保護活動の一環で高山帯における防護網設置活動とシカ、サル、イノシシ等による食害実態について説明された。

従来あまり考えられなかった3000m近い高山の稜線上にまでニホンジカが現れるという異常事態になっている。南アルプスは広域な山域であるため1県、1市町村での対応ではどうしようもない。静岡・長野の両県との連携した総合的な対応が非常に大切になってきている。後世に引き継いで行くべき貴重な高山植物がシカの食圧に瀕しているのをくいとどめることがわれわれに課せられた責務である。そのための活動の一環として生徒たちにもお手伝いをしてもらって高山帯に防護網設置を進めている。また、キタダケソウは1931年に発見された超貴重な高山植物であるが、その開花時期が早まってきている。その原因はまだ明確ではないものの積雪量の減少と積雪の不安定さ等、つまり地球温暖化に起因しているのではないだろうか。高山植物等の自然に対してどのように手を入れ、手を抜くか?は慎重に判断すべきでしょう。自然保護の在り方について多角的に考えて行くことがますます求められている。

 

渡邉玉枝女史講演
渡邉玉枝女史講演

「73歳エベレスト登頂報告」が渡邉玉枝女史からあった。今回はチベット側から5月19日に登頂した。登頂前夜9時にノースコル(7300m)を出発、足2つおけないほど幅の狭い尾根を登っての登頂であった。無事にベースキャンプに下りネパール経由6月2日に帰国した。いたる所で取材にあい登山よりこちらの方が疲れた(笑い)。「自己が持つ最高齢登頂記録を自分で書き換えできたことを皆さんに歓んでいただけたことが一番の成果と思う。『最高齢』は特に意識していなかった。私より優れた方がいらっしゃる、その方々はもっと難しい処へチャレンジしているのかもしれない。同行願った村口氏にはとくに感謝している。今回は私からの誘いに即了承いただけた。こういう山の仲間がいることの幸せを感じている。これからも厳しくない山、そう高くない山、甲斐の山々にも登って行きたい」と締め括った。

本部から萩原理事および山の日制定協議会代表幹事である成川隆顕氏(前JAC常務理事)にお越しいただき、萩原理事から「山の日制定運動」について山岳5団体からなる山の日制定協議会の活動報告があった。「山の日」は梅雨入り前の6月の第1日曜日としたらどうかと考えている、などの説明があった。

(北原孝浩)

受付 会員作品展示 講演も無事に終了、会場山梨学院メモリアルホール前での支部員
受付 会員作品展示 山梨学院メモリアルホール前での支部員