お知らせ医療委員会

■ 2017.07.30

第37回日本登山医学会学術集会 報告 医療委員会担当理事・斎藤 繁 

第37回日本登山医学会学術集会 報告

医療委員会担当理事・斎藤 繁

第37回日本登山医学会学術集会が、信州大学医学部内科学教授・花岡正幸会長の下で日本山岳会の後援を受けて、2017年6月2日(金)から4日(日)までの3日間、松本市キッセイ文化ホールにおいて開催された。この学術集会は第4回アジア・太平洋登山医学会学術集会との合同開催で、国内から244名、国外から56名の参加者があった。

日本登山医学会は医師などの医療関係者、運動生理学などの研究者、救助関係者、山小屋関係者、山岳ガイド・旅行業者など登山や高所での安全や健康にかかわる多くの業種の会員がいる。学術集会の発表、討議内容も、基礎研究から実地臨床までバラエティーに富んでおり、様々な研究活動が実践されている。アジア・太平洋登山医学会は中国青海大学の格日力教授が中心となり設立した学術団体で、登山医学とともにアジア周辺地域における高地住民の健康問題も主眼に据えた幅広い活動をしている。本会でも格日力教授ご自身が発表され、会を盛り上げた。

学術集会のテーマは「登山医学と高所生理学の新たな幕開け」であり、登山医学、高所トレーニング学、高所環境医学の3点について特に主眼をおいてプログラムされていた。日本と周辺地域における、登山医学についての研究の進歩・普及、登山活動の安全への貢献なども発表された。シンポジウムは、「高所順応の分子的遺伝的側面」、「山岳救急医学と山岳救助」、「スポーツクライミング支える医科学」の3つのテーマについて行われた。多様なトピックに関心を持つ参加者の多くのニーズに答えられる幅の広い内容になっていた。山岳医療・救助学にも力点が置かれており、山岳救助関係者の関心にも応えられたと思わる。中でも、2020年の東京五輪を見据えた高地トレーニング学や、火山噴火など山岳災害に対する山岳医療・救助学は、一般国民の関心も高いテーマであり、タイムリーなテーマであったと思われる。

学術集会終了後の6月4日の日曜日午後2時から、市民公開講座「女性と登山 私にとっての山」が開催され、写真家小松由佳さん、白馬村山岳ガイド高木律子さん,南信州山岳ガイド小川さゆりさん,内科医高濱充貴さんが講演し、多くの聴衆が参加した。

また、開催に合わせて「高山病診療ガイドライン」が発刊された。書店や大手通信販売で購入可能である。

開催期日は好天に恵まれ、参加者の中には、北アルプスや八ヶ岳登山、あるいは国宝松本城などの観光へと足を伸ばした方も少なくないものと思われる。梅雨入り前の6月は新緑がまばゆい絶好の観光シーズンであり、周辺行事と合わせて盛会裏に会は終了した。

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シンポジウム3の演者