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09.安全登山・山書紹介の最近のブログ記事

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野村仁著『55歳からの やってはいけない山歩き』青春出版2018年
 

 ほとんど初歩的な事を中心に書かれているが、今回初めて「木道の滑りやすさ」について言及された。高齢者が木道で滑って転び、骨折に至る例が非常に多いからだ。薬師岳・太郎平周辺では毎年・年中行事のように繰り返されている。GPSやスマホのGPS機能についても取り上げられている。遅すぎるくらいだ。警察庁の統計によれば2017年(H29)の山岳遭難者数は3,111名でその内一番多いのが道迷い1,252名、全体の40.2%を占めて最大要因となっている。
 GPSをログ(軌跡)を記録するためだけに使用するのであれば、スペア電池や落下防止対策のみ注意しておれば良いが、道迷い防止に使うのであれば使用方法を熟知していなければならない。計画コース(ルート)の入力、万一の連絡のために緯度経度の表示、コンパスの校正、地図の設定(進行方向が上)など。
 電池を入れ替えるたびにコンパスがリセットされる機種があり、つど校正が必要。上を進行方向に設定しても、立ち止まった瞬間に上が北となるようでは扱いにくい。また縮尺を変えると表示(上が進行方向)が変わるようでも都合が悪い。機種によって違うがメインメニューから衛星情報を表示させなければ緯度経度が分からないものがあり習熟が必要だ。
 一方でGPSやスマホへの過信も要注意。液晶画面が小さく、等高線の粗い丘陵地帯では明瞭な谷や尾根がなく、目印となるピークや池や川の分岐などの手掛かりもなく、かつ樹木が密生していて見通しがきかないような場合には、たとえGPS画面に現在地が表示されていても、現実の足元がどこなのか認識できない場合もある。(白紙に現在地の点だけが表示されるようなもの)縮小すれば周辺も表示されるが、等高線が一段と粗くなり地形がより
分かりずらくなる。狭い液晶画面で現在地を把握するためには、紙の地図と磁石さらに万一の時のために、計画外の周辺の地図まで持参するのが好ましい。
 そもそも地図の見方を知らなければGPSやスマホも使いようがない
わけで…、地図の見方を知ることが前提となる。しかし仮に地図の見方を知らなくても、携帯が通じる環境にあれば緯度経度を連絡することにより救助が早くなる可能性がある。さらに究極の利用方法としては電源を入れっぱなしにしておくことによって軌跡(トラック)が残るが、それを逆にたどることによって地図とは関係なく元の場所に戻ることも可能。もちろん日頃の健康管理が大切なことも言うまでもない。

猪熊隆之著『山の天気にだまされるな!』

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猪熊隆之著『山の天気にだまされるな!』山と渓谷社2016年
 

 「天気予報を鵜呑みにすると痛い目に遭う」と著者は指摘している。一般に天気予報とは麓の天気をいい、山頂の天気を指すものではないとする。また「ほとんどの低体温症による死亡事故は、低気圧が通過しているときや、通過前ではなく、低気圧の通過後に発生している。」として下表の例を挙げて注意喚起した。

 さらに低体温症・増水による遭難・落雷遭難・突風による遭難を防ぐシミュレーションを示している。

 近年増えつつある気象遭難は、局地豪雨などによって急激に沢や川が増水し、渡渉中に流される事故であるが、地球温暖化の進行に伴い、全国で局地的な豪雨や落雷、突風の出現率が増加傾向にあるという。それには事前にその沢の特性を考慮して、当日の気象リスクを事前に予測する必要があると説いている。

 ※著者「猪熊隆之氏」は山の天気予報を配信する(株)ヤマテンの代表取締役で気象予報士。
 

       近年の気象遭難の例
     
1989年 10月8日 立山・真砂岳で低体温症により8人死亡
1993年 5月3日 月山で低体温症により4人死亡
1994年 2月13日 吾妻連峰で低体温症により5人死亡
  2月21~23日 剱岳で低体温症により3人死亡
1995年 1月4日 千畳敷カールで雪崩により6人死亡
1999年 4月18日 浅間山で低体温症により4人死亡
2002年 9月11~12日 黒岳と十勝岳で低体温症により2人死亡
2006年 3月19~20日 八が岳・阿弥陀岳で低体温症により3人死亡
  10月7日 白馬岳で低体温症により4人死亡
2007年 12月31日 槍平で雪崩により4人死亡
2009年 4月26日 鳴沢岳で低体温症により3人死亡
  7月16日 トムラウシ山で低体温症により9人死亡
2012年 5月4日 三国境(白馬岳北方)で低体温症により6人死亡など北アルプスで合計10人死亡
2014年 8月16日 穂高岳・滝谷出合で沢の増水により3人死亡
2016年 4月30日 立山・富士ノ折立で低体温症により2人死亡
2017年 3月27日 那須・茶臼岳のスキー場近くの雪崩により高校生・教師ら8人が死亡
2017年 8月29日 幌尻岳・糠平川の増水で3人死亡
     


 

野村仁著『やってはいけない 山歩き』

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野村仁著『やってはいけない 山歩き』青春出版2016年
 

最近インターネットや登山用機器の改善で以前とは違う遭難が増えているという。著者の野村仁氏は、危険な人として次の例を挙げている。
 

①登り始めが遅すぎる人⇒ヘッドライトなどの装備がない人はそのまま遭難に至る。

②「計画」を立てずに、自由に登る人⇒行方不明になった時に探しようがない。

③ネット情報だけで出かける人⇒情報が主観的・一面的で当てにならない。

④地図を持っていない人⇒スマホやGPSの画面だけでは分からない。必ず紙の地図と併用し、計画外の周辺地図も持参する。

⑤素性の分からない相手と登る人⇒ネットの仮名以外何も知らずにパーティを組む例が見られる。行動が予測できない。

⑥単独行動が多く仲間意識が希薄で衝動的な人⇒途中でバラバラになり人を置き去りにしても平気。

⑦「遭難なんてしない」と思っている人⇒自信過剰

⑧遭難しかけているのに認めない人⇒無知

⑨一見冷静だが、何が安全か危険か分からない人⇒危険感受性が低い

⑩経験やテクニックを自慢するベテラン⇒自己顕示欲が旺盛

⑪初心者を難しいルートに連れて行こうとする人⇒自信過剰、無知

これで足りないものがあるとすれば雨具である。日帰りの晴天時、雨具を省略という選択肢もないわけではないが、その分リスクは高くなる。


 

第8回日本山岳会富山支部 山岳講演会

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第8回日本山岳会富山支部 山岳講演会

『県警山岳警備隊の活動状況』

 

富山県警山岳警備隊は、昭和40年に結成され平成27年で50周年を迎えた。この間の延べ救助者数は4,000人余りとなり、その活動は多方面から高い評価を得ている。安全登山の重要性が高まっている中、平成28年8月には隊員の手記による『富山県警レスキュー最前線』(山と渓谷社)が発行された。レスキュー現場の貴重な活動状況について山岳警備隊長に講演していただきます。

日時:平成29年2月22日(水) 18:30~20:00

会場:富山県民会館 401号室

講師:高瀬 洋(富山県警山岳警備隊長)

■ 講演会資料はこちらから

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