国土地理院(以下GSI)からの要請で、日本山岳会(以下JAC)で協議をすすめている、地形図に表記されている登山道の正確な情報提供に関する懸案について
        
        地形図記載の登山道をより正確に!  
        国土地理院では登山者の安全性向上の観点から、日本山岳会と連携して主要な登山道に関する変化情報を交換することにより、地形図などに記されている登山道を早期に更新できるようなシステムの構築を計画している。日本山岳会としても前向きにこの問題に取り組む姿勢で検討している段階であり、わが山岳地理クラブとしても、全面的に協力体制をとる決意が北野代表からも提示されている。近いうちに具体的な方針が明確になることと思うが、ここで国土地理院から登山道調査の基準をどう考えているのか参考資料として掲げ、検討材料としたい
         参行資料 
        登山道調査の取得基準(案)
        国土地理院 測図部基本情報調査課 資料より
        ◆ 地形図等の取得基準
        ○ 1.0m未満(徒歩道)
         徒歩道とは、道路幅1.0m未満の道路をいい、次のいずれかを満たすものとする
        (1)登山・観光・リクリエーション等のため頻繁に利用されるもの
        (2)集落相互を結び、必要な交通路となっているもの
        (3)主要な地点へ到達するもの
        ◆ 登山道の取得基準
        調査対象とする登山道の調査対象を絞り込むため、現況、難易度により下記のとおりランク分けを行う。
        なおA,B.Cのランク分けについては地形図に未記入の登山道を対象とし、Dについては地形図に表示されている登山道を対象とする。
        A:特に問題ないと思われるため、現地で経路調査をして地形図に表示する。
        B:曖昧な箇所があると思われるため、現地で経路調査をして地形図への表示・非表示を判断する。
        C:明らかに上級コース又はヤブ道と思われるため、現地調査は行わず地形図にも表示しない。
        D:廃道・通行禁止・ヤブ道のため地形図から削除する。
        ランク分けの目安となるコメント例
        ランク コメント例
        A ・一般的に頻繁に利用されている
         ・良く整備されている。比較的容易。案内板等が整備されている
         ・比較的短時間で登ることができる
        B ・一部渓流を渡河する健脚者コース
         ・一部クサリ場(ロープ、階段)等はあるが、全体的に容易に通れる
         ・エスケープ(非常用)ルートとなっている
        C ・足が竦(すく)みそう。下草がのび放題。クサリ場の連続
         ・あまり歩いた形跡がない。ザイルを持参した方が安全
         ・ベテラン向けコース。上級者コース。修験者コース
        D・廃道。崩壊して通行不可能
        
         これは、現在二万五千分の一の地形図に記載されている登山道について、記載されている登山道が現実には無かったり、あるいは記載されていないところに立派な登山道が存在していたりしていることに対し、正確な情報を把握し、一般登山者の安全を確保する必要性から、全国の「一般ルート」「推奨ルート」を対象に調査を進めている。これにJACの全国組織を通じて情報提供をして地形図をより正確にしようとするものである
         前回(二月)の例会において宮崎副会長より山岳地理クラブ(以下AGC)に対して協力の要請があり、当クラブとしても全面的に協力していく事になった。JACの中で委員会に等しい組織を設置する必要があり、AGCからも数名参加することになりそうだ。
         すでに昨年より数回にわたってGSIとの協議を進めており「登山道調査の取得基準」の提案を受けている。これによると地形図に掲載されている全国の山の一般的なルートを主体に、各地の名山やポピュラーな山を対称にして、廃道や新設、ルート変更などの情報を所定の書式で提供し、一旦JACで取り纏めてGSIに報告しようとするものである。
         冬山や危険性の高い登山道は対象外とし、登山道の出入り口や分岐・合流点などはハンデイGPSで取得したデータを地形図修正に役立てることを予定している。
         取得基準については、AGCレポートvol-19に記載した原案に若干の修正を加え、下記の「提供する変化情報の注意点」(案)を検討している。
         「登山道の変化情報に関する注意点」(案)
        T、国土地理院の地形図に表示している登山道について
         登山道は現地調査による写真判読やマップリーデイング(読図)により、その位置と形状を表示しているものが多く、細かな形状は地形図の編集によって省略されるため、GPS機器で取得してデータと、地形図に表示している登山道を厳密に比較すると、位置や形状が微妙に異なるものがあると思われます
        また登山のプロが歩けても、ビギナーには危険性が高い登山道は、国土地理院の地形図には表示しないようにしています。
        これらのことから、地形図に表示している登山道は細かな形状の一つ一つや、すべての登山道を表示していないことをご理解ください
        U、提供頂きたい情報について
         近年の登山ブームが高まる中で、一般登山者の安全を提供する必要があることから、一般登山者が多く利用する主要な山(「地域百名山」など)を対象に、ガイドマップ等で言われるような「一般ルート」と「推奨ルート」に重点をおいて調査を進めている
         ただし、登山道は季節や天候等により細かなルートの変化が生じ易い性質上、大幅なルートの変更でなければ修正の対象としにくい面がありますので、ご提供いただきたい登山道の変化情報等は、以下のとおりとさせていただきます
         1、登山道の範囲
        @ 全国の主要な山
        A 一般登山者に危険性の無いルート
        B 冬山用の登山ルートは対象外
        C 主要な山以外は必要に応じて協力いただく
         2、変化情報の内容
        @廃道
        ・崩落して通行不能または立ち入り禁止となった登山道
        ・全く管理されていないため全面的に通行不可能な登山道
         ※草が生い茂ることによって部分的に通行が困難であるものは除く
        A新設
        Bルート変更
        ・細かな形状の違いでなく、大幅にルートが変更している登山道
         3、報告の書式(省略)
        V ハンデイGPSの機種と取得したGPSデーターについて、