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2002年
フォーラム「中高年登山者の山での食事を考える」
 −
−栄養学、生理学、登山技術から見た食料計画−−
2002年(平成14) 11月16日
飯田橋シニアワーク東京、講堂
1「登山と疲労:酸素と水とエネルギー」塩田純一(医師、汐田病院所属)
2「山で食べる」小池澄子(管理栄養士)
3「登山技術としての食料」服部文祥(東京新聞・岳人編集部)
4「山の食事を考える・新しい食材と補助食品」越谷英雄(ICI石井スポーツ)
パネルデイスカッション:講演者、瀧上美奈子 司会:大蔵喜福
参加者122名 報告:山692(箕岡三穂)


〔1〕疲労と栄養 講師 塩田純一氏(医師、汐田病院所属)
〔2〕山でたべる 講師 小池澄子氏(管理栄養士)
〔3〕実践的食料計画 講師 服部文祥氏(東京新聞・岳人編集部)
〔4〕新しい食材と補助食品 講師 越谷英雄氏(ICI 石井スポーツ)

パネルデイスカッシヨン

司会 大蔵喜福氏(登山家、オーツ代表)
講師4人に、主婦の登山愛好家 瀧上美奈子氏(旭化成山水会会員)
を加えて討論

 フォーラム報告

「中高年登山者の山での食事を考える」

                  平成14年11月1日(土)
                          シニアワーク東京、講堂

 さる11月16日(土)午後、表記テ−マによるフォ−ラムが開催された(シニアワ−ク東京:講堂) 122名の出席者があり、座席が不足するほどの盛会であった。
 第1部は4人の演者による講演で、それぞれの専門の立場から一人30分ずつ、貴重な知見を発表して頂いた。

 演題1 : 「登山と疲労:酸素と水とエネルギ−」塩田純一氏(汐田病院医師)は、生理学の視点から、人はなぜ疲労するか。食物は身体内で代謝されてエネルギ−となる。疲労の回復に役立たせるためには、何をどのように食べればよいかという、もっとも基本的な分野について解説して頂いた。

 演題2:「山で食べる」小池澄子氏(管理栄養士)からは、きわめて具体的な食料計画について御教示頂いた。栄養の問題、消化の問題もさりながら、嗜好が重要なファクタ−で、食べられなければなんにもならないことを指摘された。

 演題3:「登山技術としての食料計画」服部文祥氏(岳人編集部)は言う。「登山における食料とは、ザックに入れる荷物の一つではなく、登山技術である」という思想に筆者は強く惹かれた。夏山では金銭の対価として得られる省力化を極力拒否して、食料は現地調達する。冬の黒部横断では、軽量、速攻という方法論は成立せず、高カロリ−にして嗜好をも満たす食料を充分に持って、登頂のチャンスを狙う登山になるという。対象とする山が変わると、食料計画も変わることを浮き彫りにされた。

 演題4:「新しい食材と補助食品」越谷英雄氏
(ICI石井スポ−ツ、営業部長)は、豊富な海外遠征の経験から、食料の軽量化にかかわる最新の食材と、補助食品の使い方について御講演頂いた。カロリ−として効率良く、嗜好も満足させられるような新食材があることが判った。また、氏からは、多数の見本をお土産として提供して頂いた。深く感謝する次第である。 

第2部はパネルデイスカションで、大蔵喜福氏(オ−ツ−代表)を司会者に迎え、4人の演者に瀧上美奈子氏(主婦・登山家)を加えて、食料計画の実際について各自の経験を討論して頂いた。塩田氏は、生理学的に自分の身体を学ぶことは大きなスキルとして必須の条件ではあるが、結局は何がおいしく食べられるかにつきると述べられた。他のパネラ−の意見もパンがいいか、米がいいかという選択はあっても、おおむね嗜好が生理学的、栄養学的必然性を上回るという結論であった。

 質疑応答に入ってからは、水の摂取に関する質問があいついだ。一日に必要な水分量はという質問には、天候、気温、発汗量などの条件に左右されるが、目安として一日1000ccあればよい。水分は食事にも含まれるし、エネルギ−変換の過程で代謝水が生まれる。全く水分のない状態では生命は2‐3日が勝負となる。脂肪として体内に貯蔵されたエネルギ−は約2ヶ月分あるが、グリコ−ゲンがないとエネルギ−にならないことなど教えて頂いた。

 大変バラエテイ−に富んだ有益なフォ−ラムであった。

(箕岡三穂)
山692-2003/1 

予稿集 

目次

ごあいさつ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・藤本慶光 ・・・・・・・・・・・・2

演題1 登山と疲労:酸素と水とエネルギー ・・・・塩田純一 ・・・・・・・・・・・3
 第1節 山でバテないための生理学  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
      筋肉疲労は乳酸から ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
      バテないためにはこうしよう  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
 第2節 暑さ、寒さの生理学  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
      山登りにあった食事にしよう ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
      資料  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

演題2 山で食べる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小池澄子 ・・・・・・9

演題3 登山技術としての食料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・服部文祥 ・・・・・11

演題4 山の食事を考える 「新しい食材と補助食品」・・・越谷英雄 ・・・・16
 第1節 新しい食材 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
 第2節 サプリメント(用語の意味とサプリメント類)  ・・・・・・・・・・・・・・・・・16
 第3節 行動食・非常食・補助食品 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
 第4節 O2食べる酸素 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

パネルデイスカッション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
 司会者  大蔵喜福 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
 パネラー 塩田純一、小池澄子、服部文祥、越谷英雄、瀧上美奈子・・・20
 司会者からのひとこと ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大蔵喜福 ・・・・・・・・・20 
 私の山歩きのための食料  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・瀧上美奈子・・・・・・・20

 演者のプロフィル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 
                             

2002年11月16日発行 A4-23ページ 絶版  

予稿集(PDF版)


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