科学委員会
KAGAKU     シンポジウム・講演会      


2014年 .
フォーラム「登山を楽しくする科学Y」
2014年(平成26) 3月15日(土)
立正大学大崎キャンパス11号館1151
1 「南極観測の最新事情」 石沢賢二(国立極地研究所)
2 「サポートタイツ」 油井直子(聖マリアンナ医科大学スポーツ医学助教)
3 「山の姿を読む―谷川岳と大雪山」 小疇尚 (明治大学名誉教授)
参加者:114名 報告:山828-2014/5 予稿集:A4-16P


報告:フォーラム「登山を楽しくする科学Y」

「南極・サポートタイツ・山の形」の3講演に聴き入る 

科学委員会

 恒例となった科学委員会主催のフオ−ラム「登山を楽しくする科学(Y)」が3月15日13〜17時に東京の立正大学大崎校舎で行なわれた。会員外を含め約百数十名の出席者は熱心に3つの講演に耳を傾けた。出席者の評価は内容、会場なども含め、すべてについて好評であった。

 日本の南極観測には多くの日本山岳会員が参加、その登山技術が大きな役割を担ってきたため、なじみが深いテーマでもあった。
 一つ目の講演は、南極に何度も足を運ばれ、第53次の越冬隊長をされた国立極地研究所の石沢賢一氏により、南極探検の話から始まった。1911〜12年のノルウェー(アムンゼン)とイギリス(スコット)による極点到達競争。そこに日本の白瀬隊による南極大陸到達が加わる。日本隊の南極観測は57年に「昭和基地」で開始された。これまでに過去72ヵ年間の環境情報の缶詰である氷床コアが人手され、オゾンホールが発見され、多数の隕石が発見(月・火星起源を含む)されたことなどの成果について解説された。

 二つ目の講演は、登山時の疲労対策として使用している方も多いと思われる「サポートタイツ」の効果について、聖マリアンナ医科大学の油井直子氏の講演。その効能について、比較実験結果を用いて説明。中高年、体力の十分でない女性登山者を対象に、疲労を減らすメリットが説明された。タイツの使用はサポーターの使用より優れている、とのこと。

 最後は地形学者小疇尚委員による「山の姿を読む−谷川岳と大雪山」の講演。
 山頂部が尖った姿の谷川岳と、山頂部が高原状で緩やかな地形の火山起源の大雪山の地形がどのようにしてできたのかの説明。谷川岳は氷河による浸食により鋭い谷地形に、大雪山の山頂部は周氷河作用によって形成されたことが解説された。“なるほど”と納得の説明であった。

 終りにあたって、快適な会場を提供いただいた立正大学に篤く御礼申し上げます。

(科学委員会・福岡孝昭)

山828(2014/5月号)

予稿集 

目次

フォーラム「登山を楽しくする科学(Y)」開催にあたって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
                             日本山岳会科学委員会
                               委員長 福岡 孝昭

講演1 「南極探検の歴史、自然そして現在の南極観測」・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
                    国立極地研究所極地工学研究グループ
                                      石沢賢二
 1.南極探検の歴史
 2.南極の自然
 3.現在の南極観測

講演2 「登山時の疲労対策としてーサポートタイツの使用効果について」・・・・ 8
                   聖マリアンナ医科大学スポーツ医学講座
                                      油井直子
 ・はじめに  ・そもそも登山とは? ・サポートタイツとは
 ・サポートタイツの登山使用における意義とは  ・サポートタイツの効能
 ・サポートタイツを履いた登山実験  ・サポートタイツの利点と欠点
 ・テーピングについて  ・サポーターや装具について

講演3 「山の姿を読む − 谷川岳と大雪山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
                    小疇 尚
(こあぜ たかし)
 山の姿はさまざま
  1.谷川岳の姿
   ・谷川岳の山岳景観 ・地形の特徴と削剥作用 ・氷河作用と岩壁の形成
   ・モレーンと氷縁流路
  2.大雪山の姿
   ・北大雪山の山 ・丸くなだらかな山々 ・永久凍土と周氷河作用
   ・氷河はあったか

2014年3月15日発行 A4-16ページ 残部あります 頒価¥500-

予稿集(PDFファイル)

講演要旨
講演1 「南極探検の歴史、自然そして現在の南極観測」

パンフレット「南極観測」(国立極地研究所)pdfファイル
講演2 「登山時の疲労対策としてーサポートタイツの使用効果について」

講演3 「山の姿を読む − 谷川岳と大雪山


UP
copyright(c) KAGAKU(y-kondo)