昭和55年1月28日、委員会ではチョモランマ登山隊で学術調査担当の京都大学地球物理院生横山宏太郎隊員を招き、講演会を開催した。要旨は次の通り。
今回は隊員数に余裕がなく、自身でも荷上げに協力し、それが一段落した後の期間を利用して調査を行うので、多くは期特できないが、一応氷河調査と気象観測の2項目を目指している。
A氷河調査(主として東ロンブク氷河)
(1)氷河形態と地形の写真測量
(2)氷河の流動測定
(3)氷河の層構造記載と密度測定
ボーリングによる直径7センチ深さ10メートルの氷コアの採集
(4)降雪の採集
(5)セラックスの標高測定
B気象観測
(1)定点観測(ロンブク寺院ならびに東ロンブク氷河ABC)
温度、湿度、風向・風速と気象情報
(2)移動観測(現地時間6時、9時、12時、15時、18時)
天気、雲、風向・風速ならびに気温
Aで得た資料の詳しい解析、たとえばO18とO16の同位元素比測定などは名古屋大学水圏科学研究所を
中心に行われ、エヴェレスト南斜面との気候の差異などが研究される。
Bのデータは登頂時の有力な一つの判断資料となる見込。
なお科学委員会ではチョモランマ登山隊帰国後、これらの調査に関する報告会を開く計画である。
出席者:渡辺兵力、沢井政信、渡辺正臣、中村純二、斎藤かつら、中村あや、遠藤慶太、大森弘一郎、三枝礼子、中沢光江
山417 (1980/3月号)
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