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2000年
報告会 「マッキンリー気象観測登山隊報告」−10年間の登山を振り返る−
2000年(平成11) 3月16日
山岳会ルーム
共催(学生部指導委員会)
講師:大蔵喜福 (科学委員)
参加者25名 報告:山662(石田要久)


科学委員会・学生部指導委員会

マッキンリー気象観測登山隊
−10年間の登山を振り返る−

 科学委貝会と学生部指導委貝会では「マッキンリー気象観測登山隊報告−10年間の登山を振り返る」と題して、3月16日、ルームに大蔵喜福氏を迎えて講演会を行った。出席者は25名であった。

 「気象観測の動機となったのは、厳冬期ヒマラヤ登山の成否を左右する。”風”がどのようなものであるか、実測研究することにより、気象遭難防止に役立つと結諭したからである。
観測機器の設置および回収を考える時、毎年登頂可能な、そして厳冬期に友人を失ったマッキンリーが観測対象に最適と判断し決定した。
 初年度1990年、デナリパス5710メートルの岩峰上に観測機器を無事設置することができたが、1991年、第2次隊が記録回収に現場に到達した時は、センサーの支柱が倒壊しており、がっかりした。しかし帰国後、多くの記録装置は立派に作動していたことが判り意を強くした。

 その後も資金集めに苦労はあったが、皆さんの応援と意欲が勝つたといえよう。

 第三次以降は、機器メーカーや多くの人の協力を得ながら、年次ごとに機器類は改良された。また学生部、青年部も雪山訓練をかねてバックアップし、記録回収および機器設置後には、マッキンリーの全員登頂にも成功している。

 ちなみに現在判明している最低外気温度はマイナス59.4度C、最大風速は82.5/秒である

 この他、アラスカ国立公園の環境行政の現状など、スライドを交えた一時間半に及ぶ楽しいお話をいただいた。

 観測は本年で予定の十年目となり、この6月記録の回収のみとなったが、観測装置はアラスカ州立大学に寄贈され、観測は引き継がれることとなった。ハワイや南米高地の観測所とともに、地球規模の高層気象観測の拠点となり、地球温暖化現象調査その他にも使用されることが約束されている。

 このプロジェクトに関わった皆さんには、10年間本当にご苦労さまでした。この結果は現在分折中であるが、必ずや登山界のみならず世界的に見ても貴重な資料となることであろう。そして今まで続けてきた6月のこの行事が、学生の雪山訓練の場としていつまでも続くことを祈る。

           (石田要久)
山662-2000/7 


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