2001年夏(7月後半から8月)から白馬山荘に常駐して、天気相談を行っている城所邦夫会員に、白馬岳とその周辺の気象について話を聞いた。
日本海に低気圧や前線がある場合、北緯45度が目安となる。 これより北の場合は、その影響を受けることは少なく、早朝より晴れて日中はガスがかかるが、夕方にはとれる。しかし午後には時々通り雷雨もある。
低気圧や前線が南に位置している場合、太平洋高気圧の張り出しが弱く、日本海の天気は良い。朝は風が強く霧であるが、日中は晴れ時々霧となる。このような天気の状態は、東北南部の山にも共通している。
発達した低気圧の東進や寒冷前線の南下の場合。平地での予報は曇りのことが多いが、白馬では西よりの風が強く、終日霧と雨で、時に雷雨を伴う。
低気圧や前線の通過後、山麓から見ると稜線には雲がかかっているが、平地の天気はすでに回復している。それでも、山ではガスがとれず、回復は半日から1日遅れる。
雷雨については、寒冷前線通過時を除くと、ほとんどは通り雷雨である。晴雨の発生地域は@剱・立山方面、A志賀高原、長野盆地方面、B松本盆地方面に大別できる。白馬方面に接近する雷雨はほとんどが@で、時にAもあるが、この場合は優勢となる。
太平洋高気圧の張り出しが強いと、朝夕は下界の雲海が発達し、日中は積雲に覆われ、晴れ時々霧となる。午後はにわか雨や雷雨がある。日中の霧のかかり方は2種類で、黒部川からの霧は長く続く傾向にあるが、安曇野方面からの霧は時々かかる程度で、稜線付近では旗雲となって東方へ流れる。
太平洋高気圧の勢力が強いと、日本海方面の低気圧や前線は北上し、西よりの風が強く晴れとなり、黒部川方面への霧もかからない。最後に、昨年7月31日から8月16日までの天気図と、雲の写真から天気の動きが示された。その中で、降雨中に杓子、鑓、毛勝、能登半島などがいつもより大きく見える天気不安定による「異常視界」が印象的であった。
(北野 忠彦記)
山725-2005/10