さる2月2日、日本山岳会ルームにおいて、地球温暖化に関する 「山岳環境講演会」が開催された。
演題は「地球温暖化とヒマラヤ氷河湖のリアルタイムモニタリング計画」、演者は慶応大学教授福井弘道氏にお願いした(他に小畦尚氏、西山進氏による関連講演があった)。参加者は55名、熱気のある質疑が交わされた。
福井教授の講演では、地球の温暖化によってヒマラヤの氷河が後退し、氷河湖の拡大が加速されており、モレーンが崩れて決壊すると流域住民、登山者に甚大な被害が生じる恐れがあるという。。昨年、福井研究室ではエヴェレスト山麓、イムジャ氷河湖にビデオカメラを設置、ITによってリアルタイム・モニターが出来る環境を作った。今年はモニターの修復、イムジヤ氷河湖の測量と貯水量の確定、緊急警報ネットワークを作り上げることをテーマに再度ヒマラヤを訪れる。モニターするだけではなく、なんらかの対策というエンジニアリングの考えも必要であると話された。
氷河湖決壊対策研究会は、福井教授の所属する慶応大学グローバル・セキュリティ研究所のみならず、宇宙開発機構、名古屋大学地球水循環研究センター、国土交通省、国際協力機構、三井金属資源開発梶A土木研究所水災害・リスクマネージメント国際センターなどの協力による。
日本山岳会では自然保護委員会、科学委員会の共催にて、福井研究室とジョイントして、イムジヤ氷河湖下流域の人口調査、洪水による建造物の危険性、警報装置に関する住民の要望など測量と聞き取り調査を行ない、ハザードマップを作成するための環境調査トレッキング隊を、4月23日出発、5月13日帰国の第一隊17名と、4月25日出発、5月15日帰国の第二隊7名を同地に派遣する。本調査の成果は福井研究室のプロジェクトを間接的に支援するものとなるであろう。
(箕岡三穂)
山755-2008/4