■2008年■探索山行:
「富士須山古道を下る」
(平成20年6月14〜15日)
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科学委員会主催の探索山行が、6月14,15日に講師4名と46名の参加者によって開催された。
梅雨の最中、期待以上の晴天に恵まれて、富士山周辺の地形、植生などの講義を受け、山を歩き、充実した2日間となった。
裾野インターに向かうバスの中では、レクチャーを受けた。明大付属高校の由井先生からは、古い火山で侵食が進んだ愛鷹山脈、越前岳の地質の話を伺った。石岡慎介会員は、廃道となった富士山須山古道が先人達の努力で復活したいきさつと思いを語ってくれた。
バスは越前岳登山口に到着。真正面に見える富士山の巨大な宝永火山を眺めながら、全員が登頂し頂上で昼食。午後、宿舎に入ってひと風呂あびてから、高山植物を研究している静岡大学理学部の増沢武弘教授の講義を受けた。富士山頂には南極と同じコケとらん藻の共生があること。永久凍土の下限がこの20年で100bも上昇したことなど、興味深い事実に感心して聞き入った。
翌日はバスで新五合目に上がり、宝永山を目指した。夜中に雨が降り、歩き出しは霧の中だったが、すぐに晴れ上がった。火口入口で由井先生の話を聞いて山頂に。昼食の後、増沢研究室の大学院生富田美紀さんが森林限界の植物たちがどうやって生き残ろうとしているか、という話をしてくれた。草や木の独特な仕組みには驚く。
宝永火山からは、須山古道をバスの待つ水ヶ塚公園に下山。急に天気は悪くなり、霧の流れる古道を高度が下がるにつれて変わる植生を楽しみながら歩いた。
(米倉久邦)
山758-2008/7月号