報告・探索山行
「豪雪地帯奥会津の地形と植生」
(平成22年5月22〜23日)
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5月22日(土)、23日(日)の両日、恒例の探索山行を実施した。参加者総数は45名、日本山岳会員以外の方々にも開放した。また、現地参加の会員の方にはガイド役も兼ねていただき、その労に感謝したい。
目的地は南会津の只見町、「森林の分校ふざわ」に宿泊し、初日は「恵み森」=大滝沢を長靴でじゃぶじゃぶ歩きながら、ブナ林やタモ、コナラ、ミズナラなどの植生について現地ガイドと科学委員会の森林インストラクターの諸氏に解説していただいた。
危険な場所もなく実に楽しい沢歩きであった。この季節、代表的な山菜の一つであるコシアブラは人間が食べても美味しいが、秋になるとその実は熊にとっても大好物の由で、幹に熊の爪あとのある木が散見された。
夕刻、講師原田暁之氏による「雪食地形」の講演。会津地方は比較的低緯度地帯であり、標高も高くないが、世界でも有数の豪雪地帯である。山腹に積った雪が谷に向って滑り落ちるときに山肌を削る。 岩盤が露出したルンゼ状のスラブが無数に形成される。アバランチ・シュートと呼ばれるものである。その前段階ともいうべき「筋状地形」も会津の地形の特徴であることを勉強した。
二日目、宿舎からバスで会津のマッターホルンの別名のある「蒲生岳」登山口に向う。道々、地形や植生について昨夜のおさらいをした。蒲生岳は岩の塊のような山である。大げさに言えば急傾斜の尾根を直登する垂直の登山道である(ロープや鎖は完備しているが)。眺望は良く会津朝日岳、浅草岳などが指呼の間に望まれる。山の頂上部は堅い岩が帽子のようにかぶさっている。
一般参加者の方々には少々きついコースかなとも思ったが、途中リタイアした方2名を除いて43名の方々が無事登頂を果たした。
(箕岡三穂)
山781-2010/6月号