恒例の探索山行が5月28〜29日、火山と椿の島・伊豆大島で開催された。今回のテーマは、大島の「火山と植生」。講師はともに科学委員の福岡孝昭(立正大学教授、火出学)と、末広坦(森林インストラクター)会員。
参加者は一般公募を含めて37名。
28日朝、岡田港からバスで中腹の大島温泉ホテル前へ。早々、ホテル前の波打った地層断面の説明を受ける。スコリア(黒っぽい軽石)・火山灰・溶岩流が幾重にも層をなしている。
ハチジョウイヌツゲ、オオバヤシャブシなどが密生する林を抜けて、スコリア原の道を三原山目指して登る。溶岩流に最初に生えるハチジョウイタドリなどの火山植生が散見される。途中、マグマの貫入による大地の歪みを測定する光波測量反射鏡など、日常、目にすることのない計測器に立ち寄り、説明を聞く。噴火の予知に不可欠なものだという。
お鉢へのやや急な坂を登り始めたころ、雨が上がり空が明るくなった。お鉢巡りの時は爽快で、A火□・B火口とも、くっきりと見下ろすことができた。25年前の大噴火で、奇跡的に残った三原神社にお参りする。カルデラの中、オオシマツツジの咲く道を、溶岩の造った奇岩を見ながら御神火茶屋へ。
この後、25前の割れ目火口跡の遊歩道を、真っ赤な溶岩流を想像しながら下った。宿泊する町営「海のふるさと村」への途中で、オオシマザクラの老大木「桜株」を見学した。
翌29日も雨。大島公園の椿資料館では、椿の種類の多さに驚く、古火山の遺作「筆島」のきれいな雄姿に感嘆し、波浮港では伊豆の踊子ゆかりの踊子資料館を見学。都の天然記念物、春日神社のオオイヌマキの群生を見た後、地層切断面へ。この巨大なバームクーヘンは昭和38年、大島一周道路の工事で山をカットした時に出現した。長さ約1キロ、高さ30メートルの積み重なった地層は、何万年分の噴火の痕跡を示すのだろうか。火山博物館で世界の火山についても勉強。
伊豆大島は、火山と植物遷移について実地に勉強することが出来る島。両講師の的確な説明を得て、参加者全員、大満足の山行であった。
(山田誠)
山794-2011/7月号