スポーツ用の下着が進歩して新しいものが出現した。
登山用にも、ひと頃のように純毛を下に着る時代ではなくなったという人が多い。
然し、登山用衣服にはシビヤな要求の必要を説く声は強い。人の命にかかわることだとして、氷雨に叩かれて、強風に当たる場合や、強くこすられる条件などがいわれる。
だから、これらの評価には基礎と実際の両面から、いろいろの規格と試験か必要である。
吸水と透湿に関するだけでも、少くとも熱力学的評価、屈曲試験、摩擦試験などは必要だろう。
今までは熱力学的な検討が抜けていた。
それだけでなく、消費者に渡った製品が問違いなく規格に合っている、或いは使用の目的に適している証拠が必要だ、とする考えがいろいろな分野で拡がってきた。
これをバリデーションという。
専門的知識技術が甚しく洗練の方向に進んだ状態といえよう。
だが極端な洗練には反対もあるもので、他の分野のことだが、昨年発展途上国のナイロビ会議で医薬品の洗練化に釘がさされた。
世界中に薬がゆき亘ることの方が大切だというのである。
洗練は進歩の方向ではあるが、基礎的な精神活動と合わない場合もある。登山の場合はどうであろう。
(科学研究委員会)