科学委員会
KAGAKU     会報資料       

 ミニ水力へ戻る

上高地山岳研究所の「ミニ水力発電装置」完工 会報「山」662(2000年7月号)(吉永英明)

ミニ水力発電実行委員会

上高地山岳研究所の      
「ミニ水力発電装置」完工


 会報『山』(647、657号)で既報のとおり、昨年から工事が進められていた山研「ミニ水力発電」装置が完工し、5月15日、新緑萌える上高地山研で完工式と披露パーティーが行われた。

 前日来の雨もやみ、薄口が差す山研裏の発電小屋前に、地元安曇村の有馬佳明村長をはじめ、広野孝男環境庁中部地区自然保護事務所長、高橋秀通中信森林管理署長、上高地観光旅館組合の方々、日本電池葛yび林エンジニアリング鰍ネどの工事関係者、山浦本会信濃支部長、赤羽、中野両地元山研運営委員のほか多数の会員が列席する中、小倉副会長の挨拶で完工式が始まった。実行委員の森常務理事(科学研究委員会担当)の設備概要説明に続き、上高地における自然エネルギー活用の先駆的役割を期待するとの来賓の方々のお祝いの言葉をいただいた。

 この後直ちに、完工式最大のイベントである発電装置の運転開始セレモニーとなった。小倉副会長と来賓の方々が順に送水管の流量調整ハンドルをゆっくり回すと、タービンのノズルから勢いよく水が噴出してタービンが回りだした。次第に回転数を増してゆくとデモンストレーション用の15個の電球が点灯、善六沢の流れが電気になった瞬間に、参会者の中から驚きの声があがり、完工式も最高潮に達した。構想より8年、自然公園法の厳しい規制の下にある上高地の特殊性から、行政的手続きが困難を極めたが、勢いよく回転するタービンの音に、やっと完工したという実感が湧き出した瞬問でもあった。

 完工式後は、場所を山研食堂に移して披露パーティーとなった。村木潤次郎元会長の音頭で乾杯の後、坂本理事(山研運営委員会担当)をはじめとする山研運営委員会女性陣心づくしの手科理が続々と運ばれ、和やかな宴が続いた。圧巻はなんといっても坂本料理長のマグロの「にぎり鮨」。上高地で「にぎり」とはと大好評を博した。

 ご協力をいただいた環境庁、森林管理署、建設省、長野県、安曇村、趣旨にご理解を賜り資金的支援をいただいた東京電力梶A中部電力梶A日本原子力発電梶Aそして日本電池鰍はじめとする工事関係者にお礼申し上げたい。

 本年4月、国会においても「自然エネルギー促進議員連盟」(顧問・橋本龍太郎会員、副会長・堂本暁子会員)が結成され、自然エネルギーに対する関心が高まっている。

 今後は、神奈川工科大学との共同で実験を継続し、山岳地域における自然エネルギーの実証的かつ先駆的活用としての、山研ミニ水力発電の有用性に関するデータの集積を期待したい。

 一方、発電装置の維持管理も重要である。山研の本村管理人夫妻に負担がかかることも予想されるため、会員諸氏の絶大なバックアップをお願いしたい。 

   (吉永英明)

山662(2000/7月号)


UP

copyright(c) KAGAKU(y-kondo)