科学研究委員会では1982年春以来,登山者の立場からみて参考となり,山と登山についての認識が深まり,遭難防止にも役立つ科学文献を集める企画をたてた。
作業を進めるにあたり,実際登山や遠征に出かける人々にすこしでも役立つことを第一の目標とし,さし当り今回は図書に限定することにした。学術雑誌や山岳関係の雑誌に掲載された論文は入手の困難も考慮して,今回は原則として採り上げないことにした。
その選択基準も,古典や名著にこだわらず,利用しやすいものを優先的にとりあげた。従ってその内容が現代にそぐわなかったり,登山に直接関係のうすいものなどは思いきって省略した。また初版本より改訂版を,また文庫判のあるものは文庫判を収録した。多少専門的な内容の図書も入れる必要が認められたので,星印(*)を各書名の始めに加えた。
また,山の人文・社会科学についても検討したが,今回は自然科学を中心とすることとした。
なお,本会図書室に所蔵されているものについては,書名の前につけたNo.を○で囲った。
(HPでは◆印)
「山と登山に関する科学」の図書の分類をどのようにすべきかについては科学研究委員会としても,この企画の作業を始めて以来多くの議論を重ね,改訂も行なった。一応別表のようなものとなったが,未だ検討すべき点があると考えている。今後会員諸兄姉のご批判をまち,さらに検討したい。
図書目録の作成にあたっては多くの会員諸兄姉や各分野の専門家のご推薦 ご協力をいただいた。とくに図書の内容紹介執筆の労を多とし,心から感謝申上げたい。
率直にいって科学研究委員会としても時間と能力に限度があり,項目選定についても内容についても不充分な点が少なくない。それにも拘らず敢えて公表することとしたのは,一つには少しでも登山の科学性,安全性について寄与できればと考えたことと,さらにこれを今後より完全なものに近づけるための叩き台として,多くの方からご批判,ご助言をいただきたいと考えたからである。新しい図書の内容の紹介,解説についてもご協力を頂きたく,切にお願い申上げます。