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会員・五百沢智也氏
秩父宮記念学術賞を受賞

 本会会員・宇都宮大学講師、五百沢智也氏は、氏の多年にわたる山岳学の研究「日本アルプスおよびヒマラヤ山脈における氷河地形および地誌の研究」によって、第19回秩父宮記念学術賞を受け、さる3月8日、その授賞式が東京銀行クラブで行なわれた。

 秩父宮記念学術賞は、登山および山岳の研究に顕著な業績のあった個人またはグループに授けられるもので、昭和38年に創設された。昭和47年、本会の1070年日本エベレスト登山隊の業績に対して、第8回秩父宮記念学術賞が授けられたほか、本会の会員やそのグループで、この賞を受けた人は多い。今回の受賞も、ひとり五百沢氏の栄誉であるばかりでなく、本会にとっても大変光栄なことであり、その受賞をお祝いしたい。

 五百沢氏は、1933年山形の生れ。東京教育大学で地理学を専攻し、卒業後、建設省地理調査所 (現在の国土地理院)に勤め、地形図の作製に多くの業績をあげられた。特に空中写真の利用により積雪の深さを測定する方法の案出、その分布図の作成は、学術的基礎、雪害対策の基礎を築いたものとして高く評価されている。

 氏はさらに名古屋大学の樋口敬二教授らとともに、同方法によって日本アルプスの残雪の調査を行ない、氷堆石堤の発見など氷河地形の研究に貢献したが、その後10回にわたる現地調査によって作られたヒマラヤの氷河分布図は、氷河学の水準を高めたものとして注目された。山岳誌上における執筆、著作活動も多く、山と登山の啓蒙につくした業績も大きい。

         (皆川完一)

山458(1983/8月号)


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