山遊会の山行計画で続いていた東北シリーズが山行係りの変更で継続しなくなった後も及川さんにお願いして個人山行で出かけている。今年は及川さんの山仲間、プモリ山岳会の山行に同行させて頂き,民話の里にある二山と語り部による、遠野物語を聞く集いを楽しんできました。
25日
早朝の新幹線で盛岡着9:30改札口に及川夫妻が出迎えてくださる。駐車場で、車2台に乗ったプモリ山岳会の皆さん5人と合流。総勢9人で一路JR釜石線の綾部駅から北へ500メートルくらいのところに在る石上神社を目指す。途中、日本十大民家に指定されている、南部曲り屋の千葉家で休憩。ゆっくりと見学したい見事な造りの屋敷だった。
登山口の手前300メートルほどのところに、車3〜4台置けるスペースがあり、ここからの出発となる。
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石上山登山口
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石上山上部、鎖はしごを登る
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登山口には古い鳥居があり登山道に続いている。カラマツ林の歩きよい道を進むとスギの植林に変わり、右へ不動岩の分岐を分け直進すると再び不動岩への分岐が出てくる。帰りにこちらの道を通ることにしてなお直進。自然林の気持ち良い尾根道は段々と急勾配になってくる。汗がにじみ出て来るがミヅナラやカエデなどの葉陰で日差しが弱まり助かる。ガレ場の手前で大休止。朝が早かったので軽く腹ごしらえ。上部は鎖場が何箇所かあると聞いていたので、気をしき締めて登っていくがたいしたことも無くちょっと安心。やがて鎖梯子が出てきてこれの登りは少しばかりスリルがあった。
最後の鎖場を越え10分ほどで山頂に着く。狭く横に伸びた山頂には3人ほど先着の人が昼食中で、全員が一塊になれず、それぞれに場所を確保して昼食をとる。ここからの展望は素晴らしく、北方に早池峰山、東に翌日登る六角牛山、白見山,眼下に遠野盆地、登山口の砂子沢流域が見渡せる。地図上の山頂はここから南へ15分ほどのところにあるようだが、踏み跡も確かでないとの案内書の文によりこれより往路を下る。
鎖梯子の下りはあぶないので、左手の巻き道をとるが、ここも足元がグサグサの急降下で気を抜けない。途中から不動岩経由の道をとり、休憩もとらず一揆に登山口に戻る。 今夜の宿民宿「江川」には4時過ぎの到着だった。
この民宿は正式には「ミルクイン・江川」と言う。外見からは想像できない洒落た名前だが、開拓入植60年の先代オーナーが、苦労の末、略農、農業、養殖など、全部を自家生の食材でもてなす宿にして今を迎えている。
夕食前のひと時、今回の山行の目玉、語り部による、遠野物語を聞く集いがはじまる。柳田國男の本や現在放映中のNHKの朝のドラマ「どんど晴れ」の影響で大人気、なかなか語り部の予約が取れないと言う。
新田スミさんと言う60代後半の語り部さんの方言は比較的聞き取りやすく、心地よいお国訛りで、座敷わらし(物語第17〜18話)、オシラ様(第69話)、カッパ(第55〜59話)、遠野三山(第2話)などを簡潔に語ってくれた。
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六角牛山 三合目付近の熊にかじられた道標
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六角牛山 山頂
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26日
朝食後、絞りたてを沸かしてくださった美味しい牛乳を飲んで7:00出発。1時間ほどで峠登山口にある駐車場に到着。
入り口には、熊の出没多い注意! の案内板。畑のような道を進み、歩き良い幅広の登山道に入る。3合目辺りにある、登山道と書かれた道標は半分くらい熊にかじられてえぐれている。登山道の両サイド、樹相の良い森が続く。時折及川さんが熊追いの「ヤッホー」の大声を発する中、霧が上がってきて木漏れ日が雰囲気の良い森の姿を見せてくれる。
4合目辺りから少しづつ急なのぼりになり、6合目ぐらいから岩ごろの歩きにくい登りになりストックが邪魔になり、両手を使っての登行となる。8合目を過ぎた辺りで先頭の及川さんが、私とくみちゃんをトップにして下さり「山頂1番乗りをどうぞ!」と言ってくださる。稜線上に出るがそれからがだらだらとした道が結構続いて、昨日聴いた遠野物語三山の長女になるお六さん(六角牛山)は、ずい分焦らして山頂にさそうわね〜〜と愚痴が出る。潅木帯をしばらく進むと六角牛神社奥宮〔避難小屋〕がある。現在はかなりあれていて使用可能かは不明。すぐ上部に山頂の岩稜がある。到着は10:00だった。のんびりとおやつタイムの後10:45往路を戻る。12:00登山口に戻りこの後遠野物語のオシラ様を祭った伝承園やカッパの渕を見学、道の駅「風の丘」に立ち寄り新鮮な野菜を買出しして盛岡まで及川夫妻に送っていただき、今年の東北シリーズを終えた。
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