冬型の快晴、気温はマイナス5度。 数日前に降った雪が、周囲の畑に残る登山口の長泉院。お墓の前で体をほぐしながら準備をしていたところ、向かいの農家の奥さんから熱いお茶と漬物の差し入れ。思いがけないもてなしに感動しながら登山開始。
秋の下見では、ところどころブッシュで道がはっきりしなかったが、この日は5センチから10センチの積雪。犬を連れた登山者らしき前日の踏み跡あり。秋はさほど感じなかったが思った以上に急登で登り甲斐がある。
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途中で簡易アイゼンを付け、あえぎながら登りヒノキの植林帯と雑木林の雪山を楽しむ。送電鉄塔を過ぎ尾根道の高度を上げてゆくと右手に三ツ峠の姿が大きく見える。左手には鹿留、御正体、今倉山、二十六夜山の山々が、葉を落とした木の間越しに連なる。標高1080メートルを過ぎると、行く手にようやく倉見山の頂が見える。平坦な雑木林に出ると最後は100メートルの急登。山頂かとおぼしき岩稜に出るが頂上はもうひとつ先。しばらくの我慢の末やっとの思いで頂上にたどりつくと、正面に大きな富士山が迎えてくれる。
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狭い頂上で、大西さんが沸かしてくれたヒレ酒と辻橋さんが作ってくれたスープ(トムヤンクン)で体を温めながら周囲の眺望と雪景色を楽しむ。冬の陽だまりでゆっくりした後はしばし急降下。南面を下るため雪が団子になって歩きにくい。小さな上り下りのあとゆっくり下るといつの間にか尾根を離れ、ヒノキとヤマザクラの植林地に踏み入れる。
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陽だまりをのんびり下っていると、ヒノキの幼木の下に財布の落し物発見!中を見ると1万円札数十枚?と「スイカ」のカード。名刺を見て全員びっくり。そこには、かの有名な山仲間の名前。半信半疑で電話をしてみると、落とし主はずばりその人。訪れる人はほとんどいない、貸しきり状態の山で、仲間の財布を拾うとは・・・なんという偶然! これからは、飲み会のたびに酒の肴になることだろう。植林地を抜けると下山口への道標が無い。大西リーダーの読図を頼りに何とか無事下山。沼津から車で参加の和田さんと別れたあと途中の大月駅前で酒を酌み交わしながら、思いがけないドラマに巡り会ったこの日の山行を振り返った。(記・松田)
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