岩峰の石裂山
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この山行の一週間前、同じ栃木県下の高原山の近辺をうろついたが、アカヤシオは終わっていて、シロヤシオはまだ形もなかった。今週の鹿沼近郊の山はどうか。里ではちょうどさつき祭りが開催されていた。鹿沼近郊には岩登りのゲレンデになるような岩山が多い。石裂山もそのような岩山の一つで、加えて修験道のにおいが濃厚にする山だった。
新鹿沼駅からタクシーで30分、一路加蘇神社の登山口へ。駐車場はマイカーで満杯で大型バスも駐車している。そのバスのフロントガラスの張り紙には、槍ケ岳登山のためのトレーニング登山ツアーとある。これは何、面妖な。
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梯子を登ったり降りたり
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岩尾根を登る
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われわれは神社への参拝はパスして脇の沢沿いの杉の植林の中の登山道を歩きはじめる。この山道沿いの見事な杉の大木の並木はただものではない。立派な登拝道をなしている。太い幹に思わず手で触りたくなり、高々とみほれてしまう。沢の中の県の天然記念物の千本桂を右手に見て、やがて中ノ宮跡のあずまやへ。そこから最初の関門、行者帰シノ岩のクサリ場がはじまり、そこを息をはずませながら登り石裂岩へ。コースをはずれしばしハシゴを登ると洞窟内に奥の院があるのだが、ここは省略。次は急なやせ尾根を木の根をつかみながら直登して主稜線に出る。ああ涼風がありがたい。花は名残りのヤマツツジがわずかに咲いているばかり。やがて東剣ノ峰から本日のハイライトの長いジュラルミンのハシゴを鞍部まで下る。下るのはいいが、対面はみごとな絶壁で豪華にも藤の花が天から舞い降りてくるように咲いている。峠からやれやれ絶壁の脇をふたたび登り返してようやく石裂山の山頂に着く。それにしても、ハシゴのない時代はこの難所をどうやって登下降していたものか。狭い石裂の山頂は満員で、もうひと頑張りして月山の山頂でランチタイムとする。北面は開けていて日光連山が遠望されるそうだが、今日はあいにく見晴らしがきかない。
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急登の連続
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山頂で
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下山路はしばらく急なクサリ場のある尾根道を下り、沢筋に出て一息つく。登りのコースと合流してしばらくで加蘇神社へ戻り今日の周回コースを締めくくる。ここへ来てようやくバスの張り紙の「槍ケ岳登山のためのトレーニング登山ツアー」の意味が納得出来た。タクシーは4時に迎えに来る手筈だが、いささか早く着いたので歩いて社務所までくだりタクシーの到来を待つことしばし、3時半に車の迎えが来る。新鹿沼駅まで戻り、駅前の辻橋さんご贔屓の「みっちゃん」で次の特急までしばしの反省会を楽しむ。
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