高校時代の3年間、秋の東京都演劇大会に向けて合宿活動を蓼科湖で行っていた。その息抜きに蓼科湖から白樺湖へと往復したトレイルが今回の定例山行コースとなった。既に時は約半世紀を過ぎ、甘酸っぱい思い出の詰まったコースを歩くこととなった。
スーパーあずさ1号に乗った3名が上高地山研から来る辻橋さんを茅野駅で待った。雨がパラパラ降る中を白樺湖に向けてバスは出発した。天候が冴えないせいか、乗客は少ない。南白樺湖バス停で下車。今にも降り出しそうな空の下、白樺湖ロイヤルスキー場を抜けて八子ヶ峰公園へ。リフトに沿って登山道はついているが、本来なら登るにつれて見えてくる白樺湖や蓼科山の景色が時々雨のパラつく天候のため全く見えない。本日の楽しみであった雄大な八ヶ岳連峰を眺めながらの天上散策は、傘を差したり閉じたり、目の前の笹原を見ながら景色を空想する山旅となってしまった。とはいっても花で有名なコースでもある。さすがにニッコウキスゲは終わっていたが、ミネウスユキソウ、ウメバチソウ、ハクサンフウロなどが登山道のあちこちに咲き誇っていた。
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八子ヶ峰東峰頂上にて
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だらだらと登っていくと八子ヶ峰公園に到着。ここから八子ヶ峰を抜けてヒュッテ・アルビレオまでは平坦で快適な道が続く。八子ヶ峰東峰(1869m)を過ぎ、しらかば2in1スキー場のリフト乗り場に到着。ここで雨を避け、昼食とする。
トモエシオガマ、ハナイカリ、マツムシソウなどの高山植物を楽しみながら50分ほどでヒュッテ・アルビレオに到着。美味しいコーヒーを楽しむ。
ヒュッテ・アルビレオは、ご主人の話では既に建設してから40年ほど経っているが7年前ほど以前に代替わりしており、今は素泊まりのみの営業となっているとのこと。
私の記憶ではここに八子ヶ峰の山頂を示す岩があり、毎年そこに立ち、蓼科山をバックに写真を撮ったことを覚えている。確かに50年前にはこのヒュッテはなかった。そう気がついて、なんと多くの時間が過ぎてしまったかを思い知った。帰りしな、ヒュッテの傍にそれらしき岩が林の中にあったのをチラッと見た。甘酸っぱい思い出と共にあった青春がふっと浮かび消えて行った瞬間であった。
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雨の中、花々を眺めながらの散策
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ヒュッテから蓼科山へ向かう道があり、2時間ほどとのこと。ヒュッテに宿泊して蓼科山へ向かうのも夏冬楽しめそうで良さそうだ。
ヒュッテから三叉路へ向かい、蓼科湖へ真っ直ぐ南へ下る道に入る。1時間ほどで親湯へ到着。これまでパラパラと降っていた雨が急に本降りとなり、プール平バス停までの15分間にぐっしょり濡れてしまった。蓼科温泉に入るかどうか迷ったがバス時間を考え、バス停前のお土産屋さんでバスを待つことに。バスが到着する頃には雨も上がり、青空が少し顔を出してきた。
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すずらん峠から蓼科湖へ
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今回は私一人が思い出を辿る山旅を楽しんだ気がして恐縮している。歩くたびに少しずつ昔日のことが思い出され、齢を重ねた自分を見つめる山旅となった。やはり50年の経過は、充分すぎるほどの変化を見つける山旅であった。同行者に感謝。
山行中に見かけた花々(辻橋さん調べ)
ハクサンフウロ、マツムシソウ、ツリガネニンジン、ミネウスユキソウ、ハハコグサ、ハナイカリ、トモエシオガマ、マルバダケブキ、フシグロセンノウ、ヒメトラノオ、キクイモ、トリカブト、ヤマラッキョウ、タムラソウ、ウメバチソウ、ヤナギラン、コウゾリナ、ナカノガリカヤ、キツリフネ、ワレモコウ、アキノキリンソウ、ブルーベリー(実)、コケモモ(実)
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