2月19日、談話会を本会ルームで開幕、近藤善則会員が講師を勤め「日本の分水嶺」について講演した。
山の稜線に降った雨水が沢となり、川となり、果ては海へと長い旅路につくにあたり、その方向を決めているのが分水嶺である。例えば、上信越の国境をなしている三国山脈が、北西側は日本海に注ぐ信濃川、南東側は太平洋に注ぐ利根川へと源を分けている。最近はもっぱらこの日本列島の中央部を二分する境界上の峰や峠を歩き続けている近藤講師。
この境界が気候や風土の違いを、ひいては文化の地域性を生み、また時に水利をめぐる係争も起こした。
現在、県境はほとんど分水嶺上にあるようだが、中央分水嶺所在の市町村(総数は500余)が分水嶺サミットを開き、水源を守り水資源を大切にするべく動いているとも聞いた。
話の中で引用された近藤信行著「登山入門」には、かの辻村伊助が東鎌尾根に立ち、北は高瀬側、南は梓川となる源の薄き境に驚き、水の行方に思いをはせた一文が載せてある。先人の山旅がいかに心豊なものであったかを知るよすがにもなる。
分水嶺をたどり、日本全図を見る目を変えられた談話会でもあった。 参加者23名
(福山美知子)