紅葉の盛りの木曽駒ヶ岳で、氷河地形観察の探検山行を行ったが、それに先立って、有井講師による山岳氷河地形の勉強会を開催した。
● 「山岳氷河地形」勉強会
9月22日午後6時半より
山岳会ルーム・出席者20名
氷河の分類、山岳氷河は、地球上の全氷河に対して面積で1.35パーセント、氷の量で0.12パーセントにすぎないこと。山岳氷河の地形による分類、わが国の氷河遺跡は約5万年前のものであること。北米やヨーロッパの広大な地域が氷河遺跡からなっていることを学んだ。
● 「探検山行」
10月1日(土)
参加者25名
しらビ平からロープウェーで上がる途中、2000メートルから上のあたりは全山紅葉。時折日がさし美しく輝くが、天狗荘に入る頃はすっかりガスになった。前夜宿泊組や早朝出発組が、三の沢岳や本岳を散策して小屋に戻ってきた。伊那前岳を往復する組もいた。
16時30分、ほぼ全員がそろったところで有井講師から、木曽山脈が大逆断層により形成されたことや、木曽駒のカール地形、黒川渓谷を中心とした氷食による開かれたU字谷について氷河遺跡はしらび平のロープウェー乗り場付近(1600メートル)にまでみられることを学んだ。
夕食後は盛大な懇親会が聞かれた。
10月2日(日)
早朝に起床、宝剣山頂でご来光を迎える。昨日とは打って変わった晴天。
鎖場の途中に断層面が露出していることを教えられ、手で触れるとツルツルする。朝食をすませ、6時半出発。中岳から本岳を経て馬の背へ。途中断層露出面の岩肌や、黒川の開かれたU字谷地形、濃ヶ池の力−ル地形を観察して濃ヶ池のカールに下る。昼食後、大関カール(駒飼ノ池)では氷河活動により堆積した岩と、地盤を形成している岩との区別を学ぶ。
宝剣山荘に戻り、いったん解散し、帰りを急ぐ組、縦走組と別れ、紅葉の観先客ですれ違いもままならない大混雑の中を千畳敷に下った。ロープウェーの乗り場の前で、中村副会長の撮ってきたアルプスの氷河写真を参考にしながら、最後の講義を聞き、氷河時代の宝剣岳の姿を思い浮かべつつ解散。
1時間近くロープウェーを待って、それぞれ帰途についた。
(北野忠彦)