去る7月11,12の両日、科学研究委員会による出羽三山に高山植物と修験道を訪ねる旅が催された。
集合は羽黒山神社斎館に午後3時。多くの人は、特別天然記念物に指定されている杉木立に囲まれた静かな石畳の参道を遊登し、ある者は、鶴岡駅より車で直行して、定刻には40余名が久しぶりの再会を愛でることとなった。
中村委員長挨拶のあと、映写設備のある歴史博物館に場所を変えて、〃出羽三山と芭蕉〃を観賞、入浴を済ませて懇親会を開く。 羽黒山に伝わる精進料理を直会(なおらい)と称して食するようであるが、いずれも逸品で、中でもゴマ豆腐、ウドの和え物、ミズナのおひたし等は大好評であった。 また山形支部のご好意による発売されたばかりの、“出羽三山記念タバコ”も添えられ、ところどころで快煙が上っていた。
少し良い気分になったところで科学する心を養うべく、講堂に場所を移して、次の二つの講演があり、一同夜の更けるのも忘れて聞き入った。
「月山の高山植物について」結城嘉美氏、『出羽三山と修験道』戸川安章氏(講演要旨は次号会報に掲載予定)。
>>> 講演会記録:月山の高山植物について
佐々会長の「明日はガス山だ」との予想も運よく当らず、夜来の雨も上ってまずまずのお天気である。貸切バスにて一気に八合目の弥陀ヶ原へ。結城先生のお話の、月山にもあるといわれるオゼコウホネに挨拶すべく本道を迂回して登るにつれ、眼下に庄内平野、遠く最上川をへだてて鳥海山、また日本海の海岸線や飛島も見えて来たが、お目当の池塘は例年にない残雪の下、高嶺の花に終る。その地点で朝食をとり、全員で記念撮影など行なった。
九合目の小舎で、所用のため弥陀ヶ原のバスまで引き返し山形へ向われる会長、佐藤テルさんら一行を見送り、俗にいう。“石原三里″を、アオモリトドマツを眺めたり、豊富な残雪に興じたりしながらゆっくり進んだ。 山頂の神社で厳かなご祈祷を受けた後、クロユリなどいろいろな高山植物の咲き乱れる草原で昼食をとる。食事が終った頃、突然通り雨の洗礼を受けた。
一日分の雨量が4〜5分で降ったみたいな豪快な降り方であった。
カジ小舎を過ぎ、牛首の分岐点で大休止、岡崎さんの吹く“三山谷”の竹の音が印象的であった。
グリセードを楽しみながら湯殿山神社に下山。
バスで鶴岡に向かう途中、大日坊をお参りし、即身仏を拝す。ミイラは亡くなりた者に腐らないよう長期保存術を施したものであるのに対し、即身仏は塩と水分だけを摂り、体の栄養分を消耗し尽して昇華・入定したもので本質的に異なるとのこと、世の肥満児は参考となすべきや。
ともあれ、心配していた天侯も変化に富んだ梅雨の晴れ間となリ、多数の参加者を得、特に山形支部長村上氏はじめ現地の方々の暖かいご支援を受けて、今回の夏季山旅を無事終えることができ心から感謝している次第である。
参加者:佐々保雄会長、佐藤テル、石黒ひで、浜野正男、山口一孝、吉田実、斎藤健治、織田沢美知子、望月計市、鈴木恭一郎、神原忠夫、原謙一、高田真哉、中垣淑子、片岡博、砂田定夫、小松原一郎、大貫久夫、宿輪浩一、岡崎徳太郎、森村浅香、林桂子、山崎直人、入谷浩右、中村あや、荒野康子、及川昭、及川弓子、堀川清、小林由美子、村上勝太郎山形支部長、加藤達男、木村喜代志、後藤三郎、梅津博、戸川安章講師、結城嘉美講師、中村純二、斎藤桂、梅野淑子、小西奎二、沢井政信、神谷光昭、高橋絢、以上44名。
(小西奎二)