今年の探索山行は男性17名、女性23名、計40名の参加を得て。「上信国境の大分水嶺と高山植物を探る」をテーマに、7月1、2日、上信国境の湯の丸、高峰高原周辺で実施された。
7月1日朝、新宿からチャーターバスで出発し、地蔵峠で下車、湯の丸山へ登った。湯の丸牧場のレングツツジが満開で、数万株のオレンジ色の群落が牧場から山腹をおおい、まさに壮観であった。
頂上での昼食のとき、北は鳥居峠を経て四阿山へ、東は篭ノ登山から浅間山へ至る、日本海と太平洋を分ける大分水嶺が一望できた。帰路は角間峠から旧鹿沢に下り、宿舎の地蔵峠「ロッジ花紋」に落ち着いた。
一休みしたのち、17時から近藤善則委員による「日本の分水嶺」の講義が行われた。
同じ山に降った雨水が、ちょっとした位置の違いで左右に分かれ、まったく異なる方向へ流れ、さまざまな経路をたどって海へ注ぎ、水蒸気になって天上で再会するという、壮大で不思議なロマンに、一同深い感銘を覚えた。折りしも夕立があり、ロッジの前の広場に降った雨が広場の中央で、太平洋側(利根川の方向)と日本海側(千曲川の方向)へ分かれて流れる様子が実際に確かめられ、大変印象深かった。
夕食後ロッジのご主人が、付近の高山植物のスライドを上映しながら解説してくれた。
7月2日は快晴、バスで高峰温泉に移勤し、そこから篭ノ登山へ登った。水ノ塔山の手前の唐松が、長野県側からの強風のため、群馬県側のみに枝が伸び、風衝木となっている様子や、稜線を境に植生が大きく違っているのが興味深かった。
また篭ノ登山から兎平へ下る途中の、2、3百年は経っていると思われる唐松の自然林は実に見事。下山道の両側に群生するマイヅル草は可憐であった。池ノ平の湿原は乾燥化が進み、笹類に侵食されつつあり、自然の変化とはいえ残念なことである。
コマクサ園の柵の外で昼食をとったが、人間の獣性を閉じ込める頑丈な金網を哀れむように、コマクサは楚々と咲いていた。
(末廣坦)
山664-2000/9