科学委員会
KAGAKU                          探索山行


     中央分水嶺踏査

2000年
◆探索山行 「大分水嶺に高山植物を訪ねる」
2000年(平成12) 7月1日-2日
地域:地蔵峠−湯の丸山−(宿)−高峰温泉−篭の登山
宿泊:地蔵峠「ロッジ花紋」
講師:近藤善則(委員)「中央分水嶺について」
柳沢孝(ロッジ花紋)「湯の丸の高山植物」
参加者:40名 報告:山664(末廣担)

報告

湯の丸、高峰高原へ

 今年の探索山行は男性17名、女性23名、計40名の参加を得て。「上信国境の大分水嶺と高山植物を探る」をテーマに、7月1、2日、上信国境の湯の丸、高峰高原周辺で実施された。

 7月1日朝、新宿からチャーターバスで出発し、地蔵峠で下車、湯の丸山へ登った。湯の丸牧場のレングツツジが満開で、数万株のオレンジ色の群落が牧場から山腹をおおい、まさに壮観であった。

 頂上での昼食のとき、北は鳥居峠を経て四阿山へ、東は篭ノ登山から浅間山へ至る、日本海と太平洋を分ける大分水嶺が一望できた。帰路は角間峠から旧鹿沢に下り、宿舎の地蔵峠「ロッジ花紋」に落ち着いた。

 一休みしたのち、17時から近藤善則委員による「日本の分水嶺」の講義が行われた。
 同じ山に降った雨水が、ちょっとした位置の違いで左右に分かれ、まったく異なる方向へ流れ、さまざまな経路をたどって海へ注ぎ、水蒸気になって天上で再会するという、壮大で不思議なロマンに、一同深い感銘を覚えた。折りしも夕立があり、ロッジの前の広場に降った雨が広場の中央で、太平洋側(利根川の方向)と日本海側(千曲川の方向)へ分かれて流れる様子が実際に確かめられ、大変印象深かった。

 夕食後ロッジのご主人が、付近の高山植物のスライドを上映しながら解説してくれた。

 7月2日は快晴、バスで高峰温泉に移勤し、そこから篭ノ登山へ登った。水ノ塔山の手前の唐松が、長野県側からの強風のため、群馬県側のみに枝が伸び、風衝木となっている様子や、稜線を境に植生が大きく違っているのが興味深かった。

 また篭ノ登山から兎平へ下る途中の、2、3百年は経っていると思われる唐松の自然林は実に見事。下山道の両側に群生するマイヅル草は可憐であった。池ノ平の湿原は乾燥化が進み、笹類に侵食されつつあり、自然の変化とはいえ残念なことである。

 コマクサ園の柵の外で昼食をとったが、人間の獣性を閉じ込める頑丈な金網を哀れむように、コマクサは楚々と咲いていた。

(末廣坦)
山664-2000/9 

配布資料日本の分水嶺2006/6/10近藤善則(探索山行配布)


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