6月4日、登山隊は総勢8名で成田を出発。登山中、悪天候に苦しめられながらも、観測機器の回収、新規設置および全員登頂を果たし、30日無事帰国した。
6月6日にカヒルトナ氷河へ入った我々は、最初好天に恵まれ、4330メートルのメディカルキャンプに入るまでは順調に隊を進めることができた。
はじめの2日間は氷河上をスキーで歩き、3350メートルのデポキャンプからはアイゼンで行動。デポキャンプから先は、高度順化の意味で荷揚げを行い、休養の後、メディカルキャンプヘ移動した。
しかし、5250メートルのハイキャンプヘ荷揚げが完了した直後の15日から天候が荒れ、行動できない日が1週間続いた。食料が足りなくなったため、デポキャンプにデポしておいた下山用食料を回収したが、それでも足りず、4330メートルに残された食料を約半分に切り詰めて、ひたす
ら好天を待った。
22日、ようやく行動可能となり、深夜ハイキャンプに移動(白夜なので夜でも行動できる)、どうにか計画を続行することができた。この日も悪天候だった場合は、食料切れのため下山するつもりであった。
幸い、残りの4日は雪の日もあったが、大きく崩れることはなく、23日午後に設置作業を完了、25日に全員で頂上を踏み、無事、目的を果たすことができた。
デナリパス上部の5710メートル地点に設置された観測機器は、風速計(三拝型)が破損していたが、風向計、温度計は外見上機能していた。今回は従来のシステム(風向、風速、気温、気圧を測定)に、新たにプロペラ型風速計、温度計を加えたものを新規設置し、古い機器はすべて回収した。
風速計が破損していたのは非常に残念だったが、昨年1年間のデータがどの程度取れているか、解析結果が楽しみだ。魔の山、冬のマッキンリーの姿が明らかになることを期待したい。
(隊長・中村真 )