はねやま
「はねやま」と読むこの山は、地元の人たちには「まんねんざん」とも呼んで親しまれています。玖珠盆地を象徴する山です。テーブル状の形をしたメーサ形火山の代表的な山として有名です。玖珠盆地を取りまく周りの山々は、このメーサ形の火山がたくさん並んで盆地を形成しています。また、万年山は二重メーサとも呼ばれ、大きな台形のメーサ形の山が2つ重なって形成されているのがとても珍しいと言われています。この二つの台形の下の台を前万年(まえばね)または下万年(したばね)、上の台を本万年(ほんばね)または上万年(うえばね)と呼ばれ、前万年の台地は広い範囲で牧草地や植林地となっていますが、本万年の上の広い台地はクマザサに覆われた広い原っぱで、展望のよいとてもスケールの大きな山頂を形成しています。
本万年の岩壁が見えてきたよ | まんじゅう石 | ヒゴタイがお出迎え | ||
牧草地の中の牧道 | 本万年へ登りの階段道 | オニユリ | ||
前万年台地のミヤマキリシマ群落と本万年山頂部 | 牧草地の前万年台地と本万年の山頂台地 | ミヤマキリシマのお花畑 |
登山口とコースの概略
この山には幾つもの登り道がありますが、ここでは一番ファミリーハイクに適した山頂一週ルートを紹介しましょう。登山口は、前万年の一部になる吉部台牧場の牧野道のゲートになります。ここまではバスの便はないので、自家用車を利用するのがよいでしょう。
牧道のゲートからコンクリート舗装の道を登ります。緩いカーブの緩い登りが続きます。左前方に巨大な崖をなす本万年の平らな山頂が見えてきたら、初夏ならミヤマキリシマの花が、初秋ならヒゴタイが道の両側で出迎えてくれるでしょう。緩く登りきる手前の右上にまんじゅう石があります。その少し先から前方に広い牧草地が開けて、ずっと向こうまでコンクリート道が長く緩く湾曲して続いているのが見えます。緩く下って左カーブで緩く登ると、初夏なら左手の牧草地の向こうにミヤマキリシマの大群落がピンクの絨毯のように見えるでしょう。少し下ると、左手の木々の間に避難小屋が見えます。そこにはトイレもあり、少し下に水場もあります。小屋の前から少し行くと分岐があり、トレッキングコースの案内板があります。ここから左に登って広い山頂を一周して右の道に戻ってきます。
左の道はすぐに石の階段が始まり、15分ほどの石段登りでやがて視界が開けてきたら広々とした山頂に着きます。真ん中に三角点があり50mほど南に行くと岩の絶壁の上に立つことができて、広大な展望が望めます。
山頂から西に向かって笹の中に続いている一本道を進みます。ごく緩やかに下っていくこの道は、初夏はミヤマキリシマの点在する中、秋はススキの穂波の中の楽しいプロムナードです。山頂から約40分で展望のよいハナグリ岩と呼ばれる岩を過ぎると階段のある急な下りとなり、15分ほど下ると林道に出るので、これを右に進みます。わずかにアップダウンの平らな林道が植林地の中に続き、ちょっと退屈になりますが、林道歩き約35分でいきなり明るい空間に出たと思ったら、その向こうは目を疑うような一面ピンクのミヤマキリシマの花畑です。広い広いお花畑でたっぷり目を楽しませて下さい。
あとは再び長い林道歩きです。何度も緩くアップダウンしながら行くと、お花畑から約1時間で最初の分岐に戻ります。そしてあとは来た時の道をたどり、約40分で登山口のゲートに戻ります。
山中には水場がありません。出発前に十分用意して行きましょう。 |
アクセス | 登山口に万年山牧場までバスの便はないので自家用車がよいでしょう。 (大分自動車道玖珠ICから万年山牧場ゲートまで10km、30分) |
コース | 牧道のゲート 一 一週トレッキングコースの分岐 → 万年山頂上 → ハナグリ岩 → お花畑 → 一週トレッキングコースの分岐 → 牧道のゲート(またはこの逆コースでもよい) |
親子 コースタイム |
牧道のゲート 一(40分)→ 1週トレッキングコースの分岐 →(15分)→ 万年山頂上 →(40分)→ ハナグリ岩 →(15分)→ 林道 →(35分)→ お花畑 →(60分)→ 1週トレッキングコースの分岐 →(40分)→ 牧道のゲート (逆コース)牧道のゲート 一(40分)一 1週トレッキングコースの分岐 →(50分) お花畑 →(35分)→ 林道からハナグリ岩への登り口 →(20分)→ ハナグリ岩 →(40分)→ 万年山頂上 →(10分)→ 1週トレッキングコースの分岐 →(40分)→ 牧道のゲート |
交通 | ●自家用車利用 吉部台牧場駐車場(無料)が利用できます |
-
九州で唯一残る扇形機関庫と転車台
JR久大本線豊後森駅に「旧豊後森機関庫」があります。車両12台が収容できる扇形の機関庫と鋼鉄製の転車台とその運転室が残っています。昭和46年に廃止となったもので、九州で唯一残る扇形機関庫です。国の登録有形文化財に登録されており、また、2009年には、「旧豊後森機関区の関連遺産」として近代化産業遺産に認定されています。
メーサ形台地
メーサとは浸食作用によって造られたテーブル状の台地のことを言い、卓状台地と呼ばれています。メーサ台地がさらに浸食が進み孤立状の丘となったものはビュートと呼ばれています。原語はスペイン語でテーブルを意味しています。主に乾燥地帯に発達する地形で、西部劇によく出てくるアメリカのモンチュメントバレーのテーブルマウンテンは有名です。上の部分に硬い平らな地層があり、下に浸食されやすい柔らかい地層がある場合には、下の地層が浸食されて、断崖・絶壁を形成し、上は浸食されないためにテーブル状の台地となるのです。万年山はこの形をした代表的な山で、玖珠地方にはこのほかにも伐株山や、大岩扇山、小岩扇山、宝山、青野山などがあります。また四国の屋島や関東の荒船山もこの地形です。
-
万年山の山頂付近にはツツジが群生し、5月から6月ごろ多くの登山客が花を見に訪れます。さて、このツツジの名は何と言うでしょうか?
-
1909年に植物学者の牧野富太郎が「深い山に咲くツツジ」という意味で名をつけ、「深山霧島」と書きます。万年山をはじめ、霧島山、阿蘇山、九重山、雲仙岳、鶴見岳など九州の高山に自生しています。
お問合わせ |
日本山岳会 東九州支部 |
登山計画書を書いて出かけよう! 登山計画書PDF