おうめきゅうりょう

多摩川沿いに広がる青梅市の北に、高さ300~500mの小高い山が続いています。青梅丘陵です。穏やかな山並みのなかにハイキングコースが走っています。JR青梅線の軍畑駅から東端の青梅駅まで12km。ちょっと長いコースですが、トレイルランやウォーキング、また親子連れの散策で多くの市民に親しまれています。途中に青梅市街に下りるコースがつくられていて、体力に応じて選択できるのが人気の秘密です。駅からバスなどに乗らず歩き始められるのが嬉しい。案内板は完備しています。

   
軍畑駅 
JR青梅線軍畑駅で下車。無人駅です。駅前に地域集会所があったり、火の見櫓があったりして、時間をひと昔前まで戻したような雰囲気です。遠くに鎧塚(よろいづか)が見えます。コースは駅から左へ少し行き線路を横切って下り、都道193号/鎌倉街道を歩きます
  榎峠(えのきとうげ)
鎌倉街道は緩やかな坂道になっています。その昔から秩父と鎌倉を結ぶ主要道路でした。いまもよく利用されています。平溝川の流れに沿って歩き、平溝橋で高水三山への道と別れ、駅から30分ほどで榎峠と出合います。青梅丘陵の西側の登山口です。入口に、かつての峠が昔のまま残っています
  雷電山(らいでんやま)
山道にはいり、いきなり木製階段の登りが続きます。平になったと思ったら、また登り。ゆっくり歩きましよう。約30分で雷電山です。標高494mでコースの最高峰です。夏になると雷の多い土地柄、雨乞いの小さな祠があったりして、いつのまにか、そう呼ばれるようになりました。頂上は、コースをやや外れていますが、ぜひ立ち寄りましよう
   
辛垣城跡(からかいじょうあと)
道が二股になっていて、左へ10分も登れば、城跡だったという箇所に出合います。辛垣城といったそうです。空堀や土塁が残っています。この地域を支配していた三田一族の砦でした。越後を本拠とする上杉の勢力下だったのですが、相模から興った北条に攻められ、1563年に落城しました。軍畑駅から見えた「鎧塚」は、そのときの武具を祀ったものだといわれています
  三方山(さんぽうやま)
城跡から急な道を下りと名郷峠に着きます。小さな祠があり、一休み。アップダウンを繰り返し送電鉄塔の横を通って緩やかな尾根を過ぎるとノスザワ峠です。このあたり、ニホンカモシカをよく見かけます。いったん下って少し登ると三方山。このコースで唯一、二等三角点があります
  大展望台
三方山をわずか下ると、北側に奥武蔵の山々の大展望が開けます。冬場の天候のよい時は日光連山も見えるそうです。石神前への分岐を下らずに東にまっすぐ進むと道は南下するようになります。よい道です。案内板と黒いドラム缶の防火水槽がある広い場所に出ると山道は終わり、広い平坦な道となります
   
矢倉台
矢倉台は、物見櫓(ものみやぐら)があったところ。外敵の動きをめざとくキャッチし、辛垣城に狼煙(のろし)などで知らせました。確かに見晴らしのいいところです。展望台からは青梅市街を眼下にみることができます。ハイキングコースは、ぐっと幅広く、かつ緩やかになり快適なウォーキングを楽しめるようになります
  枝間の富士
おもしろい標識を見つけました。大きな樹にさえぎられて、よく見えませんが、南の方向/多摩川の向こうの丘陵の上に富士山が見えるようです。「枝間の富士」という標識の指示にしたがって矢印の方法に目をやると、確かに富士山が見えます
  第3休憩所
ハイキングコースのうち矢倉台から鉄道公園までの東側部分に、第1~4休憩所が整備されています。東屋がありベンチもあって、食事をとるには手ごろな休み場です。いずれも高台にあり、それなりの展望に開けています

矢倉台をほぼ真ん中にして、コースは大きく2つに分かれます。西の榎峠から矢倉台まではアップダウンのある山道です。これに対し矢倉台から青梅鉄道公園までは、よく整備された緩やかなコースになっています。ハイキングコースのすべてを歩き通さなくても、途中、青梅線の宮ノ平駅、石神前駅などに降りる道があり、状況によってコースを選択できますそれぞれ40~50分で市街に降りることができます。やさしくは、鉄道公園から矢倉台まで休憩所に沿って歩き宮ノ平へ下るコースがお勧めです。

     
軍畑駅から榎木峠までは都道193号/鎌倉街道を歩きます。青梅から秩父への間道になっていて大型車やオートバイが頻繁に走っています。十分に気をつけ、必ず歩道を歩きましょう。
ハイキングコースから別れ青梅市街へ下りる道は、その多くが勾配のある山道になっています。滑りやすいので、ゆっくり歩きましょう。とくに、雨が降った後は要注意。しっかりした靴を用意しましよう。
青梅線は、都心の電車と違って運行本数が少ないので、帰りの時刻を事前によく調べておきましよう。奥多摩~青梅は1時間に2本の間隔です。急いで下りたのに30分も待たされるといったことがないように。
アクセス JR中央線・青梅線
[行き]中央線立川 → 青梅(青梅線に乗り換え)→ 宮ノ平 → 日向和田 → 石神前 → 軍畑 
 
[帰り]青梅線軍畑 → 石神前 → 日向和田 → 宮ノ平 → 青梅(青梅線に乗り換え)→ 立川 
※土日・祝祭日は東京・新宿から青梅までホリデー快速奥多摩号が便利。
 宮ノ平~軍畑は青梅で各駅停車に乗り換え
コースタイム JR青梅線軍畑駅 →(20)→ 平溝橋/高水三山分岐 →(20)→ 榎峠 →(45)→ 雷電山 →(30)→ 辛垣城跡 →(15)→ 名郷峠 →(40)→ 三方山 →(20)→ 40番鉄塔 →(40)→ 矢倉台 →(15)→ 第四休憩所 →(20)→ 第三休憩所 →(15)→ 第二休憩所 →(5)→ 第一休憩所 →(15)→ 青梅鉄道公園 →(15)→ 青梅駅 (カッコ内は分)

青梅鉄道公園

1962(昭和37)年、鉄道開業90年記念事業として開設されました。実際に活躍していた蒸気機関車が広場にずらりと並んでいます。人気のデゴイチなど11両。屋内では鉄道模型などが展示されています。
<人気の展示車両>
110形蒸気機関車/1872(明治5)年、新橋~横浜に開業した日本で初めての鉄道に使われた10両のうちの1両。イギリス製◇8620形蒸気機関車/大正時代を代表するC型蒸気機関車。「ハチロク」と呼ばれる◇D51蒸気機関車/国鉄を代表する貨物用蒸気機関車。デゴイチです。1115両製造されました◇新幹線0系22形/0系は「ひかり」として時速200kmを超えた記念すべき車両。東京寄りの先頭車。

軍畑駅東のトレッスル鉄橋

もうひとつ鉄道の話。軍畑駅のすぐ東にある鉄橋は「奥沢橋梁」といい、1929(昭和4)年の建設です。全長105mの短い橋梁ですが、高圧電線の鉄塔のように鋼鉄を組んで造った珍しい橋梁です。トレッスルなのだそうです。トレッスルとは「架台」、あるいは「うま」のことで、これに橋桁を乗せた構造です。かつて山陰本線の余部(あまるべ)鉄橋が最大でしたが、撤去されました。「奥沢橋梁」は現存10ほどしかない貴重な存在のひとつです。鉄道マニアの垂涎の的となっています。

なぜ「青梅」というようになったのでしよう。

1. 織物が盛んだったので、織物がなまって青梅になった。

2. 夏を過ぎても熟さないで青いままの実のなる梅の木があったことから青梅になった。

青梅にある金剛寺というお寺の庭に「将門誓いの梅」という梅の木があります。ある時、将門がこの地にきて、馬のむち代わりにしていた梅の枝を地面につきさし「わが願いがかなわないならば枯れよ」と言ったが、枝は根づいて枝葉が繁茂したそうです。梅の実は夏を過ぎ、秋になっても実が青々として落ちないということで有名となり「青梅」の地名になったと。

3. 梅雨の時にも晴れて青い空の日が多いところなので、青空の梅雨から青梅になった。

青梅丘陵情報

青梅市役所 Tel. 0428-22-1111
青梅市観光協会 Tel. 0428-24-2481
都営バス青梅支所 Tel. 0428-23-0288
西東京バス氷川車庫 Tel. 0428-83-2126
青梅鉄道公園  TEL.0428-22-4678

 

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日本山岳会 東京多摩支部

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