信州登山道リフレッシュ事業について
日本山岳会信濃支部 自然保護委員 穂苅康治
長野県が2005年から実施している信州登山道リフレッシュ事業について紹介させていただきます。
これは、環境省が、いわゆる三位一体改革で昨年より国立公園の特別保護地区、第一種保護地区の施設整備について国の直轄事業でおこなう代わりに、第2種保護地区、県立自然公園の整備への補助金を打ち切ったことを受けて、新規に策定した事業です。
この事業は、長野県が50%、一般登山者からの協力金が、50%という比率で、資金を出し合い登山道の補修材料を山小屋に提供しようという事業です。但し、設置工事の労務費とヘリ代等の運賃は、現地山小屋の負担になっています。登山者の協力金を事業に組み込んだところが、画期的です。
長野県が、昨年わずか百万円でしたが、新規の予算を付けて、北アルプス南部地区の北アルプス山小屋友交会と北アルプス北部山小屋組合に等分に配分しました。私の担当する南部地域では、山小屋20箇所ほどに募金箱を置いて、登山者の方に寄付を呼びかけましたところ、31万円強のご厚志を戴きました。一般登山者拠出の不足分の19万円弱は、この資金を利用した横尾山荘と大天井ヒュッテで拠出し、この事業費を計百万円にしました。
大天井ヒュッテでは、この資金を使用して、梅雨時に崩れた登山道の補修材料(篭枠)を76万円強購入し、ヘリコプターで荷揚げをして、現地に設置しました。事業費から約60万円支出し、さらにヒュッテが16万円強負担し材料を購入し、ヘリ代約20万円と労務費約50万円もヒュッテが負担しました。大天井ヒュッテとしては、約96万円を負担して、約146万円の補修工事をしたことになりますので、4割補助の工事ということでしょうか。そして、工事費の15%程度は、登山者の方のご厚志によっていることになります。
今回の事業の特徴は、登山者の方に協力金という形で、工事費の負担をしていただいたことです。この事業の良いところの一つは、現場を知る山小屋が起案をして工事ができる点で、余計な工事はしないという事ではないでしょうか。
長野県は、今年、この予算を3百万円に増額して、事業の範囲を全県に広げる予定です。ただ、登山者の数が、北アルプスに比較して少ない他の山岳地域で充分な協力金が集められるのかどうか、また、北アルプスのようにこの事業を受けて実施できる主体があるのかどうか心配なところです。
会員ならびに登山者の皆さんのご協力をお願いしたいところです。
高山植物の盗掘や踏み荒らしの問題は北海道で大きな問題になっており、活動も活発である。
1998年夕張岳の大量盗掘を契機に北海道の自然保護団体・登山団体が結集して北海道高山植物盗掘防止ネットワーク委員会(代表:北大大学院教授・小野有五・事務局長:樋口みな子)を立ち上げ支部としても北海道庁から夏季大雪山一帯の監視パトロールを請け負うなど、大きな役割を果たしてきた。
今回の打合せで、山環ネットの高山植物部会の部会長を樋口みな子が引き受けることになった。
全国各地の実情を知ることからはじめ、この問題が地域問題に留まらないで全国問題として取り上げられて、山の環境保全に寄与できるよう努力して行きたい。(樋口みな子)
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