2011年5月アーカイブ

「上高地・奥飛騨のジオパーク構想」

  

「上高地・奥飛騨のジオパーク構想」
  -知られざる魅力、地形の形成と地球の営みを探る。
 

中央構造線や糸魚川フッサマグナ及び箱根・伊豆のプレートテクトニクスなど自然の実態について学問的に研究を進めて来ました。
それ以来、久し振りの自然学の学びの会として今回の上高地での「上高地の地質・地形自然史とジオパーク構想講演会」に参加し、原山先生のお話を直接にお聞き出来ました事を感謝致しますとともに、研究会の皆さんが長きに亘って上高地の樹木・草花・生物などについて研究してこられインタープリターとして多くの若き世代の人々を指導してこられた事などもお聞きできた良い機会でした。
“地質探偵ハラヤマこと”原山先生の著書「超火山{槍・穂高}」は2008年10月に先生のサイン入りで頂き、途中まで読んだ記憶がありますが、直々に先生の講話をお聞きできるのは初めてで、大きな期待を持って参加させて頂きました。
結語を先に申し上げますと、期待していた内容を大きく上回る4時間に及ぶ講話で、感激・感動に胸打つ、実に素晴らしいお話であったという事です。
先生は最初に世界自然遺産とジオパークについてその力点の差異を説明されたが、中々理解し易い比較法でありました。
次いで、「奥飛騨」と言う呼称を付けられた意味に疑問符が付きましたが、次第に「上高地ジオパーク」とか「上高地・新穂高」とか「上高地と槍・穂高」などの呼称も用いられて、それなりに理解できました。先生の味わい深い哲学と感動・感激的な要素が滲んだ四次元的発想での話術並びに、奥の深い研究の成果の内質には、先生が力説された「新たな世界に感動出来る事が重要」との意味合いに 旨く合致したものでありました。
特に2008年(平成20年)11月から翌年3月にかけての300mのボーリング調査で多くの深度別の泥質堆積サンプルを採集されて、梓川の流路変更と年代も分ってきていると同時に、巨大堰き止め湖(古上高地湖)関連で古梓川の川原も発見されている。
今後もより深く分析が進むのであろうが、仮説的な観点でのお話も多く実に新鮮なものでありました。
私も現在JAC・東海支部の「猿投の森づくりの会」でCOP-10の協賛事業として「森の生態学」をベースに多様な生物たちの森について学習しているが、先生方の解説には持論を補強すべく世界の学者の研究発表を引用されて「・・・らしい」、「・・・と考えられる」、「・・・と推測される」などの表現をされるが、我々読者の方としては、未知の世界に対する興味があるだけに、仮説を検証もせずに実態として身に付けてしまう失礼が多い。
先生のお話でも学術ボーリングに於いては、未だ何とか 深度300m迄の遺物が採集できた段階で、より深き分析も必要だろうし、1000m位まで調査出来ればと思考もされておられ、我々も期待もしているが、これについても、先生の研究姿勢の熱心さに感嘆して「それは正しい現実だ」と解釈させて頂いている。
このお話は4時間では入り口だけで、これからが本番と考えて度々お話を聞きたいものであるが、「研究者・インタープリタ-の交流組織・能な地域責任者による運営が不可欠」と述べておられるので、研究者の一人として交流活動を前進させていくべきだと痛感する。
                                          2010―06―27 黒 田  滋 記)
 

 

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