哺乳類 その1
ニホンザル
樹の上からガッガッガッという声が
本州・四国・九州に分布、群れで生活し、自然林が残り水のきれいな沢や岩場がある所に住んでいます。日中活動し、食事と休息を繰り返しながら、夜は樹上で眠ります。山全体を眺めていると、他とは違った異常な動きをしている木があります。成獣のオスが意図的に木ゆすりをしているのです。ガッガッガッという声も聞こえることでしょう。移動の際も、ホッホーッ、ホッホーッと声を出しています。
食べ物は果実や若い葉などから、昆虫、カニなどの小動物まで広範囲におよびます。フンは、一般にはヒトの親指くらいのソーセージ形です。冬は樹皮まで食べるので、おむすび形の固まりが幾つも連なったフンになります。
よく見かける場所
日光いろは坂、南房総の高谷山、伊豆の波勝崎など
ノウサギ
ザザザッとヤブを走ってるよ
平地から森林限界に近いハイマツ帯にまで広く分布する動物です。おもに夜活動し、昼間は岩かげやヤブの中で休息しています。しかし、昼間でもザザザッとヤブを走る音を聞いたり、車の少ない林道で見かけることもあります。さらに、雪面で最も普通に見つかる足跡がノウサギのものです。4つ1組で特徴のある大きなT字型を描きます。前足でホップ、ステップと刻み、ジャンプして前足跡を跳び越え、両後足で着地します。
ノウサギの唯一の武器は、俊足で走ることです。天敵は、ワシやフクロウなどの鳥と、キツネ、テンなどの哺乳類です。大きな耳は、敵の動きをいち早く知るためのものであると同時に、全速で逃げる際に体温を一定に保つ冷却機の働きもしています。
よく見かける場所
草原や広い場所で見られます。大久野島(広島県)にはノラウサギがたくさんいます。(ノラウサギ:カイウサギの野生化したもの)
ニホンジカ
どこかにツノが落ちている?
北海道から九州にかけて、さらに屋久島、対馬などの島にも分布します。比較的明るい林に住み、うっそうとした林では見かけません。日中、雑木林などで休息し、夕方と早朝に草地へ出て食事をとります。食事は短時間ですませ、主に林内の休息地で休みながら反すうしています。オスは単独ですが、メスと子ジカは小さな群れを作っています。
ツノはオスだけのものです。1才児は1本ヅノですが、その後は枝分かれします。ツノは毎年生え替わります。古いツノは12月頃に脱落します。さて、落ちたツノはどうなるのでしょう。実は、冬の間に野生のネズミにかじられて、無くなってしまうのです。
夏毛は黄褐色か栗色で、全身に白い斑点が現れます。冬毛は灰茶色で白斑はありません。
よく見かける場所
春日大社(奈良)、宮島(厳島・広島)、大山(神奈川)などには、人に慣れたシカがいます。
カモシカ
木立の間からじっとこちらを見つめてる
本州、四国、九州に分布、低山帯から亜高山帯の落葉広葉樹林、針広混交樹林で見られます。早朝や夕方頻繁に行動し、単独か数頭からなる家族で行動しています。1日の行動は採食、移動、休息の繰り返しですが、伐採地で人が働いていたりすると、木の株や岩の上で何時間ものあいだ、その動向を見つめていたりします。
オス、メスともにヤギのようなツノがあります。ツノは生え替わることなく、折れてしまっても、一生そのままです。草の葉や茎、落葉樹の芽や葉を食べ、秋にはドングリも食べます。共同トイレを持ち、数個体が同じ場所を何回も使います。これはタメフンと呼ばれ、フンの小山が出来ます。フンの一粒は、シカやヤギと良く似た弾丸形をしています。
よく見かける場所
山道で見られていることがあります。葉が散った冬の方がよく見えます。
カワネズミ
沢歩きをしてると会えるかも
日本には「○○ネズミ」という名で、実はネズミではない動物がいます。トガリネズミ、カワネズミなどです。すべてモグラの仲間で、ネズミを小さくしたような姿です。
カワネズミは本州、四国、九州の低山帯から亜高山帯の川や湖に住んでいます。水に適応した動物で、山地の谷川にすみ、水生昆虫、エビ、カニ、ミミズ、魚などを食べています。養魚場などにも現れます。全身が黒いビロード状の毛で覆われていますが、水中では銀色に見えます。毛の隙間に入っている空気の泡のためです。急流でも泳ぎ切る力がありますが、普通は流れにのって下り、上りは水際を歩くことが多く、昼夜の別なく採食と休息をくりかえします。半日も絶食すると餓死してしまうのです。
よく見かける場所
関東地方では奥多摩や丹沢の渓流、養魚場で見られるかも。