哺乳類 その2
ムササビ
夜の神社に行ってみよう
空を飛ぶ夜行性のリスです。本州、四国、九州に分布し、海岸付近から標高2300mのシラビソ林にまで生息します。大木がある神社や寺院の境内で、良く観察されます。樹上で生活し、巣は大木の樹洞に作ります。木の芽、葉、花、果実や種子を食べます。
前足と後足の間にある飛膜を広げ、グライダーのように滑空します。目的の木の幹に跳びつき、幹をかけ上がって、再び次の木へ跳び移り移動していきます。鋭い爪があり、良く利用される木は爪跡で樹皮がささくれだち、周囲に比べて明るい色に変わっています。
ムササビに似た動物がモモンガです。しかし、ムササビは飛膜を広げると新聞紙半分の大きさになりますが、モモンガはずっと小さく、往復ハガキのサイズです。
観察会をやっているところ
御岳山(東京)、高尾山(東京)、今宮神社(都留市)、天覧山(飯能市)など多数
イノシシ
車道や畑を横断している
北海道をのぞく日本全域に分布します。同種ですが、本州、四国、九州に分布するものをニホンイノシシ、琉球列島に分布するものをリュウキュウイノシシと呼んでいます。
行動域は広く、山地帯から耕作地、島々では海岸にまで出没します。主に夜活動しますが、山奧では日中でも活動します。雑食性で、さまざまな植物質や動物、カエル、ヘビ、モグラまで食べています。林の中や山道で、地中のミミズや昆虫をあさったり、球根やタケノコを探した痕を見つけたら、それはイノシシが掘り返したものでしょう。
山間のダムや波の静かな内海では、まれに泳ぐ姿が目撃されます。しかし、鼻と頭の上半分だけを水面上に出しているだけで、今にも沈みそうな姿のため、応援したくなります。
ときどき見かける場所
六甲山、伊豆高原など
クマ
会いたくないけど見てみたい
日本には2種類のクマが分布します。ツキノワグマは本州と、四国・九州の一部。ヒグマは北海道のみです。主に夜間活動し、子連れ以外は単独で行動します。足音をまったくたてませんが、近くにいる時は、フーッ、フーッという激しい吐息が聞こえてきます。
「クマだな」は食事の跡です。樹上でドングリを取って食べる際に小枝が折られ、そのまま枯れるので、周囲がすべて落葉しても、そこだけ葉が残っていて棚のように見えるのです。主に植物食で、一度に同じものを大量に食べることが特徴です。
冬越しは、冬眠ではなく、「冬ごもり」と呼ばれるものです。体温は通常の活動時とほとんど同じです。この間に、1から2頭の子を産みます。新生児はクマネズミほどです。
よく見かける場所
知床半島、大雪山などにはヒグマがいるよ。
タヌキ
ときどき人里に現れるよ
タヌキというと、すすけた、汚れた色をしていると一般に思われているようですが、実際は大変美しい動物です。背面は黄褐色ですが、オレンジ色に見えるものもあります。
北海道から九州までのほぼ全域に生息し、佐渡島、瀬戸内海の島々などにも分布します。沢筋、湖沼などの水辺に近い浅い山林を好みますが、どちらかと言えば人里近くに住む動物です。イエネコそっくりの足跡に、はっきりした爪跡があったら、それはタヌキのものです。しかし、見かけることが少ないのは、ほぼ完全な夜行性だからです。家族が近い距離に集まって生活。雑食性で、動物から植物まで、何でもよく食べます。木に登ってカキを食べたりもします。タヌキが「木に登るイヌ」と呼ばれるのは、こんな理由からです。
よく見かける場所
静かなとこに棲んでいる。旅館などで餌付けをしているところもあるね。