湧き水は100年前の雨?

山の湧き水って、おいしいけどすごく冷たいのね。

地中の温度はほぼ一定だからね。夏はとくに冷たく感じるんだ。

どうしておいしいの?

ミネラル成分や二酸化炭素、ケイ酸を適度に含んでいるからだと言われている。ミネラル成分というのはカルシウムやマグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、マンガンなどのこと。でもミネラルは多くなると苦みとか、渋味や塩味などを感じるようになる。それに水道水のように殺菌していないので、塩素のカルキ臭がしない。ああそれと、10℃〜15℃の水が最もおいしく感じるらしい※。

もともとは雨の水なの?

雨や溶けた雪が山に染みこんで地層にろ過されたものだ。地下水となって、ふもとの町でも多くの人々が利用しているよ。井戸を掘って生活に利用したり、工場でも使っている。

地下に川があるのね。お魚はいるの?

地上の川とは違って砂や礫の隙間に水が浸みているだけなんだ。伏流水というんだ。富士山には川は流れていないけどふもとには富士山の伏流水が流れているんだ。忍野八海や白糸ノ滝、柿田川などが有名だね。でも川と違って、流れる速さが非常にゆっくりしている。地形や砂や石の大きさなどでだいぶ違うんだけど、1m流れるのに1日から数年もかかることがあるんだ。トリチウムという放射性同位体を使った調査では、富士山に流れた雨によっては100年以上かかってふもとに到達していることもあるという発表もある。

すごい! でも、湧き水は腐らないの?

湧き水のなかにも細菌類やカビ菌類はいるよ。それに大腸菌なども。でも地中では冷たいし栄養素もないので繁殖しづらい。制菌性のあるミネラルもある。地上に出てくると温かくなるし雑菌も入るから繁殖しやすくなる。

お腹が痛くなっちゃう?

耐えられる体があれば平気だろうけど。でも動物も飲みに来るような湧き水は注意した方がいいよ。動物が持っている細菌や微生物 が入ることがある。それから名水と言われているものにも大腸菌とか含まれていることがある。煮沸して飲めば安心だけど、おいしさは半減しちゃうかも。

※=厚生労働省・おいしい水研究会

生活に利用されている伏流水

忍野八海